ゝ･拾肆 ページ14
夕飯は皆で仲良く肉を食べた。お金は大人ふたりが出してくれたので、遠慮のない高校生たちと私は食いに食いまくった。腹いっぱいだぜ！
高専に帰った私と燕は寮の部屋に通された。あ〜ベッド！ありがたい。元より布団よりベッド派だ。
燕が迅速に着替えさせてくれるのを甘んじて受けながら、私は今日一日を思い返す。濃い一日だった。なんにせよ、あの三人と仲良くなれたのはとても大きい。これからが楽しみになってきたくらいだ。
そう、これから。……私はそう遠くない未来を思う。私はそんなにお優しい人間じゃないし、ここが本当に呪術廻戦の世界なのだと確信しているからこそ、原作の大筋は変えたくはない。
だが、救いたい。私は我儘なのだ。とりあえず来年入学してくるであろう七海建斗と……灰原雄。彼を救う。
私の技量は想像以上だ。三年後、灰原を救うことだって余裕だろう。
傑の離反は物語の絶対条件だから変えられないが……そうなると天内理子も救えないな。彼女の死は離反の起点だし。見捨てなきゃいけない命があまりにも多くて私ちょっと参りそうだ。
「お嬢さん、楽しかったですか？」
燕のそんな質問に、私は一度思考を中断して頷いた。燕は微笑んで、それはようございました、と言った。
「お屋敷におられた時より、口数も笑顔も増えてございましたから」
「屋敷で燕と会ったこと、あったっけ」
「ございますよ。多く居た側近のうちの一人でしたから、覚えておられないのも無理はありませんが」
側近。私はAの記憶を漁る。私が呪術の練習をしたり、勉強をしたりしているとき、確かに私を見守る人たちが沢山いた。あの中の一人だったのだろう。
「実家に雇われてる連中はクズしかいないと思ってたから」
アッ。口は正直である。燕はちょっと困った顔をした。ちがうちがうちがうちがう！燕はいい子！大好き！今日初めてまともに喋ったけど！
慌てる私を静止した燕は、すっと立ち上がった。着替えが終わったのだ。
「間違ってはおりません。私もクズですよ」
「燕はやさしいよ」
「いいえ、私の生家がクズですから、私も同じです」
燕の生家。不思議そうな顔をした私に、燕は説明する。
「うちは代々扇一家に仕えておりました。扇一家は女性優位の家系で、男は蔑視されておりました。
男は子を産ませる道具で、ある程度子供を作ったあとは殺されてしまうのです」
ホア！？私は目を見開いた。実家が思ってた以上にヤベーところだった。
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ニノ崎(プロフ) - めっちゃ面白いです，，，好みドストライクです！これからも応援しております。後，伍話目の美美美ー美・美ー美美ってまさか某マルハーゲ帝国()のパロですか() (2021年3月2日 18時) (
レス) id: 159ece0998 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - みもなるーと。さん» 丁寧なご感想たいへん嬉しいです、ありがとうございます！燕は扇一の自立に必要な犠牲だったのでちょっと……ね……これから扇一夢主、ガンガン男前に磨きがかかって参りますので何卒お楽しみ頂ければ幸いです！ (2021年2月26日 19時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - なんだかクソデカ感情を向けてしまった（？）夢主に恋してしまうかと思ってしまいましたね… 最近は天候が崩れやすいのでお体に気をつけて無理せず頑張ったくださいチュチュ… (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
みもなるーと。(プロフ) - な、なんだこの小説は今まで生きてきた私へのご褒美かご褒美なのか。夢主のどこか達観した想像力などに惹かれました。燕さん私の推しだったのに食べちゃいましたね…やはり愛とは、呪いなのかしらと再認識できた気がします。素晴らしい小説をありがとうございます。 (2021年2月26日 17時) (レス) id: d641c5035a (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - 43yomi1さん» ありがとうございます〜〜！！！更新頑張ります！！ (2021年2月26日 16時) (レス) id: 96fc810d06 (このIDを非表示/違反報告)
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