腹を決めたオタク ページ47
……さて、来てしまった。光が微かに見えた時、私はピアスを口に含んだ。三千年耐えてくれますように。あと起きた私が飲み込んじゃったりしませんように。
南方、緑色の──およそ自然的ではない光線が、空から地を覆うように迫り来る。石化光線だ。やっぱり石化は免れないらしい。冷や汗が背を伝うのが、否応にも分かった。
「悲鳴は聞こえない、Twitterも更新無し。重畳重畳、死人は出てないな」
「マイペースかお前は」
千空が珍しい焦り声で突っ込みを入れてくるので、私はケラケラ笑った。笑えるから大丈夫だ。
すぐに無意味になるであろうスマホを机にポイして、拳を握って脇を締め、腹を守るような形で両手首を身体に着けた。石化中にぶっ壊れて手足ブチブチとかごめんだ。多分大丈夫だと思うけど、私は。なんせ千空と関わりゴリゴリにあるからね！
「まあ死にゃしないでしょ、多分」
「なんだその根拠のねぇ自信はよ」
千空の声がした。それを最後に、私は目を閉じる。
刹那。光、音、匂い、感覚の全てが、急速に遠くなる。きいんと耳鳴りがしたと思ったら、そこから何も聞こえなくなって、見えなくなって、感じなくなって、動けなくなった。
さて、私のミッションは簡単だ。ここから三千七百年間、意識を飛ばさずいればいい。ハードであるのに変わりはなかろうが、推しの為なのでな。軽率に体も張っていきたい。
まあそんなことを考えてる時点で、私の脳みそはまだまだ全然ハッピー元気いっぱいってことだ。ようは何万秒かごとに来るはずの意識のブラックアウトを気合いで跳ね除けりゃいいだけの話。
何について考えようかな。まずは原作のおさらい。あとは今までに培ってきた中で、三千七百年後にも役立てられそうな知識を根こそぎ漁る。
もしそれでも時間が余るようなら……そうだな……前世読んでた漫画やらアニメでも思い出してみるかな。
なんでもいい。脳みそを使おう。エネルギーを消費して、なるべく目覚めが早くなるように努めよう。あとはもう願うのみ。私の五体満足と、あとできるだけ千空の近場で復活できるとなおいい。
まあ私だし、鹿くらいならサクッと狩ることができるだろう。哺乳類の解体方法については多分一番大事になると思ったのできちんと調べておいたしな。
衣食住は千空もいるし、きっと何とかなるはずだ。抜かりない。なによりもまず衣食住が最優先だ。
……リリアンは、大丈夫だろうか。……きっと、大丈夫だ。
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ももこ - めっちゃおもしろかったです！文才過ぎてガチ小説読んでるみたいでした！ (11月9日 18時) (
レス) @page20 id: 1bc8f0fbc1 (このIDを非表示/違反報告)
癒し系猫(プロフ) - 名前変換は出来ないのでしょうか? (5月29日 21時) (レス) @page1 id: 0e8640f8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ぱるさん(プロフ) - あやめさん» ｵﾜﾜ〜〜〜〜ありがとうございます〜〜〜〜！！！！ (2020年12月12日 20時) (レス) id: 2cc2b8ed9f (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - めちゃくちゃ面白かったです！！これからどうなるのか楽しみです！！！更新楽しみに待ってます！！！ (2020年12月12日 16時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
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