踊る蝶 ページ8
リンクの出口に向かって滑り出す。ヴィクトルが立っていた。
「上手だったよ」
「あー、有難う。次どうぞ」
「はーい」
ヴィクトルは楽しそうにリンクに滑り出していった。
いつ見ても綺麗だと思う。
でも長髪のときのほうが私は好きだったなあ。
…暇だ。
「そうだ、ミナコさんのバレエスタジオ借りよう」
思い立ったが吉日。日本の諺だ。
私は三つ子ちゃんに言付けて、スケート場から駆け出した。
だって暇だし。
「ミナコさん!」
「おっ!?…何だ、レシャじゃない」
「うん、スタジオって…」
「空いてるわよ。使う?」
「有難う」
…トゥシューズを履く。
トントン、と具合を確認して、軽く準備運動。
それから、順に踊ってゆく。
スケートと一緒。爪先から、毛先まで。
飛び回る。回る。
バレエは楽しい。けれど、私はスケートの為にバレエをする。
私にバレエをくれたマーマは、それで良いと言ってくれたから。
「…うえ、久々でピルエット連続は流石にきついか…」
よろりと手摺りに凭れた。
因みにピルエットは爪先で立って回るやつのことだ。
昼ご飯出てきそう。無理はするもんじゃない。
「やっほー」
「ん…二人共。どうしたの」
「スケート場に居なかったから、皆に聞いたら此処だって言われて…」
「…その、後ろの子って」
「嗚呼、ユーリだよ」
金髪の奥の白い顔。エメラルドの綺麗な瞳。
よく見るのに何故か一度も会ったことのなかった、ユーリ・プリセツキー。
…が、何故か、ヴィクトルの後ろにいた。
まあ十中八九ヴィクトルを追っかけてきたのだろうが。
「初めまして。宜しく」
近づいてみると、あれ、意外と小さい。
そういえばまだ15歳か。これからだなあ。
いや、どの道157cmしかない私からすれば大きいけど。
「…レシャ・アルテュセール?
あの…本物か?」
「逆に私の偽物っているのかな」
「いたら凄い度胸だよねえ」
私の名を語るならまず6歳で世界チャンピオンにならないといけないし。
ハードル高いな私の偽物。
「握手する?」
「っ、い、いいのか!?」
「ウン」
ユーリは何故か少し照れながら私と握手を交わした。
なんだこの子可愛いな。
何となくいたたまれなくなって抱き締めてみた。あわあわしてた。
「で、練習は済んだ?」
「うん、今日はこれで終わりにする」
そろそろ疲れた。シャワー浴びたい。
「…あの、離してあげたほうが…」
「おっと。悪いね」
533人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みこ - キャーキャーキャー!!!ユリオー!!!!! (2017年4月8日 19時) (レス) id: c68a911b59 (このIDを非表示/違反報告)
碧依 - ユーリのツンデレが可愛すぎる!あと某包帯無駄遣い装置の様なイケボで爆笑しました笑 太宰さん!マモちゃん!笑笑 (2016年11月22日 23時) (レス) id: c4f6f33d1c (このIDを非表示/違反報告)
夢小説ダダハマり人間 - ユーリのツンデレ!!レアすぎる!!!!//// (2016年11月2日 22時) (レス) id: 8350bb61d2 (このIDを非表示/違反報告)
なよん - うわあああああ、ユーリ可愛すぎだよおおこれからも応援してます。 (2016年10月21日 18時) (レス) id: bc703b2ae3 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ああああユーリかわいい…更新頑張ってください! (2016年10月21日 1時) (レス) id: 237b5fb748 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ