銀盤にて踊るは蝶の如し【ユーリ!!! on ICE】

夢の先 ページ7

数日後。

ユウリはなんか減量とか言ってずっと走っているらしい。お疲れ。

私はただ滑っている。



「本物のレシャ･アルテュセール！？」

「動画撮ってよか！？」

「良いけどアップしないって約束してね」



初めましての時、三姉妹ちゃんと約束をしたりもした。

演技の楽曲はバレエ楽曲の「ジゼル」一幕。

次のシーズンでやる曲だ。


フリーではジゼルの二幕をやる。


本当だったらパーパに見てもらいながらやる筈のものだが、パーパは日本にはいないし、別に居なきゃいけないという訳でもない。


…言ったら泣かれそうだが。


おっと、此処は三回転フリップだったか。

私は決めた通りの手順を追って演技を続ける。


…嗚呼、楽しい。


髪が靡く。回した腕が空を切る。

軽く空を飛ぶようなこの感覚が気持ちいい。


…四回転サルコウ。


歓声が聞こえた。いつもより小さいけれどそれでも充分な程の。

私は微笑んだ。


美しくあれ！

美しくあれ！


父の言葉を脳内で反芻しながら銀盤を滑る。

指先まで。

夢の先まで。

毛先まで。

全て美しくあれと。


…そうして、演技は終わる。



「…うん、今日は調子が良いな」



ひらり、と礼をしてから、呟いた。

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