ウシワカの妹になったけど兎に角隣の白布が可愛い。

八話 ページ10

こんにちは、やっと白鳥沢に入学した澪佳です。

胡桃はどっか行きました。どこの中学校行ったんだろう。気になるけどまあのちのちでいいか。

「写真部でいいか」

バレー部は極力入りません。
我慢効かなくなる。そのうち自分のタオルで白布の汗とか拭いてそれ保管しそう。
から写真撮っても怒られない写真部。

美術部と迷ったけどね。でもこっちのが一瞬一瞬を残せるから。

「一眼レフ持て余してたんだよね」

何故か去年の誕生日プレゼントだった一眼レフ。
多分これは運命だったんだよ。ありがとうお父さん。

バレー部に入らなかったことを(主に兄に)追求されたりもしたけど言いくるめたし。苦労した。
そんなこんなで首から下げた一眼レフは私の相棒になりました。

綺麗なものは撮る癖がそのおかげでついてしまったわけだが、まあいいか。

初めて別のクラスになったりした白布とは関わることも少なくなり、会話も勿論ほとんどなく。
足りない。白布が足りない。

最近私は枯れてきている。
色々と枯渇している。

貼り付けの笑顔が多くなったり、好きな和菓子をあんまり食べなくなったり。
あとちょっと現実的になったかも。

家のベランダから虹を撮る。

実は今日は休日だった。
画面を見ると綺麗に撮れた虹。

でも枯れている。
足りない。

白布が足りない。

前から依存してると思ったけどここまでとは。

「…あーあ」

だいぶ伸びた髪が揺れる。
…今度切ろう。邪魔だし。

「澪佳ー？」

お母さんの声が聞こえて、ベランダから部屋に移動する。

「何？お母さん」
「ごめんね、若利の鞄にタオル入れ忘れたの。届けてきてくれる？」
「…いいよ」

そうだ、写真部の作品、バレー部の活動写真にしよう。
私はスニーカーを履いて、勿論一眼レフも下げて。

財布とタオルと携帯を入れたショルダーバッグをもって。

薄い灰色のワンピースをはためかせて、玄関を出た。

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