ウシワカの妹になったけど兎に角隣の白布が可愛い。second

五十七話 ページ8

「終わったー！」


宮城なう。澪佳です。

肌に染み付いた土地って素晴らしい。見慣れた土地って素晴らしい…！


「こら澪佳ー、夜だから静かになー」
「あ、すみません菅原さん…」
「まあ帰ってきて安心すんのわかるけどな」


菅原さんはそう言って笑ってくれた。

菅原さん流石スガエルですね。本当に天使なんじゃなかろうか？


「じゃあ私帰ります！お疲れ様でした！」
「おー、気ィ付けてなー！」


私は一礼して走り出す。
何があるってわけでも、急いでいるわけでもない。

ただ早く、賢二郎に会いたくて。


…それで少しだけ不注意をして。


けたたましいクラクション。大型のトラック。

信号はちゃんと青かった。前方不注意、信号無視だ。

運悪いなあ、私…！

ぎゅっと目を瞑ったその時、強く腕を引かれて、収まったのは。


「…ッ、馬鹿澪佳」
「…、あ、賢二、郎、？」


賢二郎の腕の中。

トラックはそのまま私と賢二郎の前を通過して、壁にぶつかって止まった。


「なんで、ここに」
「俺も合宿から帰ってきて…そしたら澪佳轢かれかけてるし」
「私悪くなくないかなこれ、明らかあの運転手さんの前方不注意だよ」
「…でも、心臓止まるかと思った」


私はちょっと微笑んで、ごめんね、と囁いた。


「あ、待って賢二郎、ちゅーは後。まず警察呼ぼう。交通事故だよこれ」
「…ちっ」
「舌打ちしないの、後でいっぱい甘えてやるんだから今休憩してなさい」
「な、…あー、そういうの狡いな、ほんと」

五十八話→←五十六話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す