毒にも薬にも【短編集】 (ページ15)

今日:119 hit、昨日:83 hit、合計:61,932 hit

4 ページ15

・

切ない声と、悲しそうな目に、胸がぎゅーっと苦しくなる。

…違う違うちがう！

こんな顔させるつもりじゃなかったのに、
なぜか小島と出かけたことがバレてるし、

ちょっとだけ、嫉妬してくれないかなぁ…って思ってただけだったのに、

……取り返しのつかないことをしちゃったのかもしれない。

A「…ごめんなさい……」

良規「…ごめんだけじゃ、分からんよ。」

A「ちがうの、同じゼミのただの友達だから、

よしくんが考えてるような関係じゃないよ。でも…」

良規「…でも、？」

A「……よしくん、束縛してくれないから。

縛って欲しくて、嫉妬して欲しくて、
変な…感じで話しちゃった……」

素直に言って許されるようなことだって思ってないけど、

…こんなバカなことで別れたくなんかないし、

おずおずと謝った。

……痛くなるほどの静かさが苦しい。

ねぇ、なにか答えて、？

A「よしく、」

ぎゅ、と抱きしめられる腕に力が入って、
恐る恐る見上げると、

A「…っ！」

どろ、っとした目でよしくんが低く呟いた

良規「………………かわえぇなぁ、」

ぺろりと食べられちゃう、そんな予感がした。