毒にも薬にも【短編集】 (ページ13)

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良規Side

最近、Aがなんか変や。

……なに、とはピンとくるやつが無いんやけど、
変にソワソワしとって、“今日どこ行っててん？”って聞いても

A『へっ、？！いや、えっと、と、友達と買い物…みたいな？』

…みたいなってなんなん。

買い物にみたいもなにも無いやろ。

浮気できるほど器用な子やと思ってないし、

誤魔化すのが下手くそで、そんなところがいじらしくて可愛いなぁ、って思ってたのに、

ちゃんと教えてくれへんくせに、下手くそな誤魔化しされるから

心にモヤモヤしたのが生まれたのを無視するのに必死やった。

やって、

…俺がめちゃくちゃ嫉妬深いの、バレたくなかったから。

なぁ、A。

なにを隠してるんか、ちゃんと教えてくれへん？

……じゃないと、俺、その“友達”相手に嫉妬してしまいそうなんやけど。

“シャワー…浴びてくるね？”そう目を伏せながら言ったAはサイドテーブルにスマホを置きっぱなしやった。

ピロン♪

小島今日はほんまにありがとうな!

小島また明日な〜

…ロック画面に突然表示された文字に脳がフリーズする。

こんな文面、やっぱり男よな？
…明日、ってどういうことなん？

夜、甘ったるいムードも出来上がって、

……付き合ったばかりでも無いのに、Aがシャワー浴びてるってことにドキドキして、

今から始まるコトに、童貞でもないのにときめいてた俺がバカみたいやんか。

良規「…ちゃんと、聞かなあかんなぁ？」

ぼそっと呟いた声はやけに湿っぽくてドロドロとしていた。