毒にも薬にも【短編集】 (ページ12)

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縛って　青ページ12

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束縛しない彼氏、正門の変なスイッチ押しちゃった彼女ちゃんの話

Aside

よしくんは、束縛してくれない。

付き合い始めた頃に、“私に守って欲しいこととかある？”って何気なく聞いたことがある。

良規『Aが好きなようにし？』

そうやって、ふわふわと笑いながら答えが返ってきた。

そんな風に聞くの可愛いなぁって感じの目をしてたのが、ちょっと恥ずかしかった。

…束縛されたい訳じゃないけど、ルールもなにも無いのはちょっとつまらないなぁって思うのが乙女心。

愛されてる自信はあるけど、
ほら、女の子って愛を確かめたがる生き物じゃん？

抱きしめられて“愛してる”って言われるのよりも、
もっともっとよしくんからドロドロした感情向けられて

…愛されてるって実感したい。

変、なのかな…これって。

だってね、よしくんって酷いんだよ。

返信が遅くなっても、

既読無視しても、

なーんにも聞いてこない。

体調悪かったん？くらい聞いてくれてもいいじゃん！ってよしくんに言ったら

“Aが体調崩しそうなときは分かってまうしなぁ…”って眉毛を八の字にして困った顔された。

…変なこと言ってごめんね？って気持ちになっちゃった。

よしくんは、私のことなーんでも知ってくれてる。
よしくんには、敵わない。

よしくんの手のひらの上でヨシヨシされて甘やかされてる感じが

くすぐったくって、

でも、ちょっと悔しい

そうだ、思い通りには動かない彼女目指して

よしくんに束縛してもらおう！

そう思いたった私は、

『妹に誕プレ買いたいねんけどなにがええと思う？』ってLINEしてきてた同じゼミ生の小島を買い物に誘った。

あ、もちろん2人じゃなくてゼミ生の別の子といっしょに3人で行くんだけどね？

……こんな、バカなことを考えてたのを後悔するのは少し先のことだった。