毒にも薬にも【短編集】 (ページ2)

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晶哉「酔ってない同士ちょうどいいやんか」

A「…なにが」

晶哉「お話ししよーってこと。

酔っ払いに巻き込まれるの嫌やろ？
…2人で話しとったら、流石に絡んでこないだろうし。」

A「あー、たしかに…。
いいね、そのアイデア乗ったるわ。」

そうやって、話し始めたことをきっかけに、
Aちゃんとの距離は徐々に縮まっていった。

…訳でもなく。

他学部やったから、接点なんて、
サークルくらいでしか無かったけれど、

組んでるバンドも違うし、
受けてる授業も全然違う。

微妙な距離感のせいで、
サークル活動中もあんまり話さへんし、

ただ毎回、サークル呑みで、2人で話すだけ。
他の人から絡まれへんように。

…嫌なことは聞いてこないし、聞いたりもしない。

お互いに無害でいることを、望んでたから。

Aちゃんが望んでるのを分かってしまってたから。

それが心地よくって、

丁度よくて、

都合がよかった。

都合のいい存在でいたかった。

ただの友達、

もしくはそれ以下。

そんな関係をズルズルと1年以上続けてる。

もうとっくに、好きになってるというのに。