35 ページ37
「てことで。」
不意に太宰さんの腕が背中と膝裏にまわされ、
「ちょっと太宰さん?!」
ひょいと持ち上げられてしまった。
いわゆるお姫様抱っこ、というやつだ。
「どちらの世界の人間かを決めるのは君達じゃない。この子は返してもらうよ。」
くるりと踵を返し、部屋を後にする太宰さんと私。
だが、
「おい、待てよ。」
それまで黙っていた中也さんによって引き止められる。
「ポートマフィアにいれば人殺しなんて日常茶飯事だ。手前ェの過去も、そのうち″日常″にできる」
それでも行くのか?と中也さん。
その瞳は心配そうに揺れており、私の事を気にかけてくれている事が分かった。
「____行きます。だって、初めて武装探偵社を見た時から、私は____」
_____光に憧れずにはいられない
「……そうかよ。」
諦めたように、弱々しく笑う中也さんの姿を背に、部屋を出た。
思いのほかすんなりとポートマフィア拠点を後にし、探偵社への道を辿る。
「ねぇ、Aちゃん。」
始終無言のまま隣を歩いていた太宰さんが、徐に口を開いた。
「何故、君は異能力の存在を隠してまで武装探偵社に?」
どちらからともなく、歩みが止まる。
「何故って______」
薄く微笑みを浮かべながらその質問に答えると、太宰もまた、穏やかな微笑みを浮かべた。
そして引き寄せられるように手が繋がれる。
上を向けば、すべてを包み込むように、優しい夕焼けが空を優しく染めていた。
______何故って、″人を救う側の人間になるためです。″________
終わり
682人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナキ - とても面白いです!更新ガンバって下さい!応援してます!! (2017年12月26日 10時) (レス) id: 09c9350497 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 芥川好きですわ〜w羅生門に一回抱っこされて見たいw羅生門撫でて見たいw (2017年11月18日 19時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^皆に愛されて、ヒロイン、羨ましいです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月14日 0時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
ささみ(プロフ) - くれーぷさん» コメントありがとうございます!敦が夢主に抱きついて、芥川が嫉妬っていう流れが書きたかったんです笑 (2017年8月22日 22時) (レス) id: 6b4aaf1703 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ(プロフ) - 探偵社との再会のシーンめっちゃ好きですね。号泣して抱きついてくる敦可愛過ぎる← 題名見てすぐ飛んで来ましたwこれからも更新頑張って下さい(*´∀`)♪ (2017年8月22日 11時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ささみ x他1人 | 作成日時:2017年8月14日 22時