32 ページ34
少女の独白
去年の冬
最初で最後の殺人を犯した。
ポートマフィアに楯突いた組織の壊滅が目的だった。
しかし、敵拠点だと思って爆破した建物は無関係のオフィスビルだった。
ポートマフィアはデマを掴まされたらしい。
作戦の責任者は一人の少女。
彼女は126人もの一般人を死亡、重症に追い込んだ。
だが少女は願った。
″人を救う側になりたい″と
″陽の当たる場所へ行きたい″と
そして禁忌を犯してしまった。
自らの異能力で、″罪の記録″を抹消したのだ。
陽のあたる場所にいる、彼らの隣を歩くために________
意識が浮上していくのを感じた
あの後探偵社を飛び出し、社員寮には帰れないからネカフェにでも行こうと一人で街を歩いて、そしたら……
「っ!?」
首筋には鈍い痛み。あぁ、殴られたのか。
そして見覚えのあるこの天井は
「ポートマフィア……」
憎々しげに呟いた矢先、タイミングを見計らったように扉が開かれる。
「よぉ。最近よく会うなァ、A?」
トレードマークの帽子に手を添え、その口元はやんわりと弧を描いた。
_______物凄い既視感である
「……私に何の用ですか。中也さん。」
ガチャりと後ろ手に扉が閉められ、コツコツと靴音を鳴らしながら中也さんとの距離が縮まっていく。
そして彼は私が身を預ける寝台に腰掛けた。
「とぼけんなよ。手前ェは俺らの目的が分からねぇほど阿呆じゃないだろ?」
くつくつと笑う中也さんだが、私は一切笑えない。
「あの七瀬とかいう依頼人。ポートマフィアの差し金ですか?」
中也さんの瞳が驚いたように見開かれ、その後、また楽しそうに細められた。
「流石だな。もうそこまで気づいてたか。」
やはりそうだったか。先日といい今日といい、ポートマフィアは随分と私にご執心らしい。
「″小さな疑念は、いずれ大きな歪みとなる″___首領の言葉だ。」
なるほど。
「では疑念が歪みに変わる前に、私が探偵社を去ることも計画の内ですか。」
「その通りだ。」
七瀬を使って私の異能力の存在を探偵社に明かし、居場所を奪う、か。
「相変わらず汚いやり口ですね。」
「はっ、お褒めに預かり光栄だぜ。」
私の皮肉にも全く気にした様子はなく、なおも中也さんの笑みは深まるばかりであった。
682人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナキ - とても面白いです!更新ガンバって下さい!応援してます!! (2017年12月26日 10時) (レス) id: 09c9350497 (このIDを非表示/違反報告)
塩キャラメル - 芥川好きですわ〜w羅生門に一回抱っこされて見たいw羅生門撫でて見たいw (2017年11月18日 19時) (レス) id: ef2dbfdc67 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^皆に愛されて、ヒロイン、羨ましいです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年11月14日 0時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
ささみ(プロフ) - くれーぷさん» コメントありがとうございます!敦が夢主に抱きついて、芥川が嫉妬っていう流れが書きたかったんです笑 (2017年8月22日 22時) (レス) id: 6b4aaf1703 (このIDを非表示/違反報告)
くれーぷ(プロフ) - 探偵社との再会のシーンめっちゃ好きですね。号泣して抱きついてくる敦可愛過ぎる← 題名見てすぐ飛んで来ましたwこれからも更新頑張って下さい(*´∀`)♪ (2017年8月22日 11時) (レス) id: d036a490f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ささみ x他1人 | 作成日時:2017年8月14日 22時