狼達に睨まれた兎【文スト】

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キャスター付きの椅子を引き、ゆったりとした速度で腰掛けた。

ギィと軽く鳴き声をあげ、椅子が微かに沈む。



女の異能力者



そして記憶を奪う



＿＿＿＿＿まるで私の異能力ではないか。



遠くのデスクで仕事に集中する国木田さんには絶対に聞こえないほどの声量で呟く


さてどうしたものかと思考を巡らせるが、いい案は浮かばない


決して探偵社の皆に異能力を知られる訳にはいかない


もし知られてしまえば、


「私は＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿くなる。」


「A？何か言ったか？」


思いがけず大きな声が出てしまっていたようで、国木田さんの視線が向けられる


それを躱すように、誤魔化すように私は微笑んだ


「いえ何でも。ただ、夕焼けが綺麗だなぁと。」


「む。言われてみれば、確かに綺麗だ。」

窓を見やれば、空には悲しくなるほど綺麗な夕焼けが広がっていた









「首尾はどうだい？」


とある高層ビルの最上階

その部屋に陽の光は差さず、燈といえば僅かな照明が申し訳程度に照らしているのみだった


重厚な机の上で腕を組む中年の男

その瞳は笑っていながらも鋭く、睨まれれば誰であろうとすくみ上がってしまう程に鋭い

「事態は全て予定通り。順調に事は進んでいます。」


机の男よりも明らかに年上であろう銀髪の老人が、恭しく胸に手を当てながら告げた


「そうかい。実に待ち遠しいねぇ。」


くつくつと上品に笑う男


その手元には1枚の書類が握られている





＿＿＿＿＿＿天堂 A

元ポートマフィア幹部補佐

現在は武装探偵社の社員

ポートマフィア時代は数百人あまりを処分

異能力 『忘却の花』

記憶を消すことが出来る＿＿＿＿＿＿＿＿

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