狼達に睨まれた兎【文スト】

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「パーティ、ですか？」



国木田から手渡された書類。内容は異能特務課からの依頼のようだ。


「あぁ。非合法組織が裏社会の重鎮を集めてパーティを開く事になっている。そこに異能特務課が追っているターゲットが参加するそうだ。」

「で、そこに潜入しろと？」

「そういうことだ。」

作戦の内容はこう。

私がターゲットを誘い出し、一緒に潜入する淳くんと太宰さんが捕らえ、特務課に引き渡す。

つまり、


「それって色仕掛けじゃないですか！」

「すまん……」


ハニートラップなんてやったことは無い。ましてやパーティに参加したことなどある筈もない。

だが、目の前には申し訳なさそうに項垂れる国木田さんの姿が。

……これでは断ろうにも断れない。


「＿＿＿分かりました。やりますけど、あんまり期待しないでくださいね？」


半ばヤケになって言ったはいいが、本当にうまく出来るかわからない。


色仕掛けということはつまり、上目遣いで見つめたり、腕を組んだりする訳で「Aちゃーん？」


「ぅえい？！」


突然胸の下と腹部に太宰さんの腕がまわされる。所謂抱きしめられている状態だ。


「そんなに不安がることはないよ。君は十分美しいのだから、勝手にターゲットから寄って来るさ。」


私が保証しよう、と太宰さんは自慢げに云う。

「お世辞は結構です。それにしても…」

何でそんなに上機嫌なんですか？

腕の中をするりと抜け出して太宰さんへ向き直ると、いつにも増して緩んだ顔。

「なぜって、そんなのAちゃんのドレスアップした姿が見られるからに決まってるじゃないか！」



……殴っていいですか？



「赤、青、いや黒も捨て難い！あ、私としては大きくスリットの入った「あの本当にもう黙ってください」わあすっごい真顔」


これはあれです。あまりにもお世辞を言われ過ぎると照れを通り越して冷静になる現象。


「それで、そのパーティはいつなんですか？」


なおもブツブツと独り言を続ける太宰さんは放っておき、国木田さんに尋ねると、これまた気まずそうな様子で眼鏡を押し上げた。


「……国木田さん？」


「……明日だ。」


「国木田さん」


「本当にすまない……！」


ということで、明日はパーティーに潜入です。

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