狼達に睨まれた兎【文スト】

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NOside


目的のマフィアの拠点の前。


首領から対象の殲滅を言い渡された中也と芥川は苛立ちを覚えていた。


その原因こそが、


「何でテメェらが此処に居るんだよ！！」

「人虎ッ･･･！なぜ貴様が此処にいる！」



「それはこちらの台詞だよ。」

「お前こそなぜ此処にいる芥川！」


潮風に砂色のコートを靡かせながら立っている己の元相棒。そしてその後ろで所在なさげに立っている白髪の少年だった。


互いに敵意剥き出しの状態が続き、先に口を開いたのは意外にも芥川だった。


「昨日Aが帰ってきた時、体から貴様の臭いがしたぞ。僕のAに触れるな！！」



忌々しそうな表情を浮かべ、今にも襲い掛からんばかりの勢いで芥川が言う。


「巫山戯るな！Aさんは探偵社の･･･いや、僕のだ！」


バチバチと火花を散らして睨み合う二人。

「君たちそこまでにしなよ。」

「下らねぇことで揉めてンじゃねぇ。」


上司である太宰と中也はため息混じりに異常な部下たちの仲裁に入る･･･かと思われたが、



「Aは俺のだ。／Aは私のものだよ。」



意図せず、無意識の内に台詞が被る。
言い終えたと同時に二人の表情が固まり、


「冗談きついよちびっこマフィア。」

「冗談キツいのはテメェの方だよ青鯖が。」


こちらでも一触即発。


「大体、Aは探偵社に戻ってくる予定だよ。あまり馴れ馴れしくしないでもらえる？」


「ぁあ？逃がしてたまるかよ莫迦が。今アイツはポートマフィアだってこと忘れんな！」


ギャンギャンと吠える中也に対し、相手を馬鹿にするような飄々とした態度の太宰。






その様子をこっそり見ていた殲滅対象であるマフィアの見張り役によると、此のやり取りはかれこれ一時間続いたらしい。

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