【Ｐ５】続！ド田舎少女は都会に移転しました？！！ (ページ1)

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1 陽炎揺れし季節ページ1

「暑い……」

季節は夏。

私がこの世界に迷い込んでしばらく経ってしまった。
相変わらず記憶は殆ど戻っておらず、自分が何処から来たのかは分かっていない。

「はぁ…日差しがコンクリートに跳ね返って暑い……もう無理、上着脱ぐ…」

私は着ていた上着を脱いで脇に抱えた。
空を見上げると大きな入道雲がゆっくりと風に乗って流れていた。

pipipi─

ポケットの中の携帯に通知が入る。
相手の名前を見ると『雨宮蓮』と書いてあった。

「そう言えば蓮君達って夏休みなんだっけ…」

『今から時間ある？』

『大丈夫だよ、どうかしたの？』

『Aに紹介したい友達がいるんだ。』

友達？
前に会ったのは確か…

高巻杏ちゃんと、坂本竜司君だったかな…

「最近会えてないなぁ…でも蓮君の他のお友達にも会ってみたいな」

『分かった、渋谷駅に向かえば大丈夫？』

『うん。

あ、今そこで止まって。』

ん？

「今そこで止まって……？」

私はメッセージ通りその場に止まる。
な、なんだろ……

「…わっ！」

「きゃっ……！！」

急に声をかけられて両肩をがっちり捕まえられる。

もし自分が動物なら今尻尾か毛皮がブワッてなってる…うん、絶対。

「ふっ…くっ………驚き過ぎ……」

振り向くと、そこには笑いを必死に堪えている蓮君の姿が。

「えっ…あっ……れ、蓮君…?! お、驚いたよ?!」

いきなりの状況に言葉が出てこない。

「ごめん、近くにいたのを見かけたからつい…」

蓮君はまだ笑いを堪えながら片手で謝るポーズをする。

「それよりも…メッセージの件、今日はみんなで集まって買い物に行く所だったんだ。
話をしたら竜司や杏以外の他のメンバーもAに会ってみたいって言われて…」

あ、そう言う事なんだ。
蓮君ってたくさんお友達がいるんだなぁ…

「そうなんだ、私も会ってみたいと思ってた。嬉しいよ！」

「そう言って貰えれば嬉しい。それじゃあこっちに……」

私は蓮君に案内されるまま駅へと向かったのだった。