Another-15 ページ17
太宰は体を起こしながら言葉を連ねる。
太「『本』の正体は一冊の小説だ。
書いたことが真実となる白紙の文学書。」
腹を押さえ、膝で立つ太宰に向き合いドストエフスキーは歩みを進める。
ド「えぇ、私はその本を使って
罪の──異能者のない世界を作ります。」
太宰は怪我をしているとは思えないほど毅然とした態度で言い返した。
太「やってみ給えよ。
──やれるものなら。」
にらみ会う二人の近くで国木田の太宰を探す声が聞こえる。
彼等が来る前に撤退しようとするドストエフスキーは太宰に背を向けて歩き始めた。
しかし、途中でピタリと足を止めた。
ド「言い忘れていました。
貴方の御姉様は私が預からせていただきました。」
太「っ!
矢張関与していたか……。
姉さんに掠り傷1つでもつけてごらんよ?
許さないからね。」
クスリと笑い、興味深そうにドストエフスキーは太宰を見下ろした。
ド「先程より鬼気迫る顔付きですね。
彼女には別の場所に行ってもらいましたから共喰いに巻き込まれる心配はありません。
ただ───。」
ドストエフスキーは空を見上げながら楽しそうに嗤った。
ド「異能のない彼女が“彼”を相手にどこまで持てるかはわかりませんけどね。
安心してください、死なない程度でと言いつけておりますから。
まあ、抵抗するなら牧師殿と同じようになってもらいますけど。
私にとっても、この世界にとっても彼女は必要な鍵ですから。」
怒りで痛みが感じにくくなったのか、無理矢理体を動かそうとする太宰にドストエフスキーは笑みを深めるばかりだ。
ド「羨ましいですね。
私にも彼女のような姉がいたら幸福だったでしょうね。」
太「いいだろう?
頼まれたって譲らないけどね。」
ド「どうでしょうか?
私に『本』について教えてくれたのは彼女なんですよ?
貴方と似た者同士の私の姉になる可能性が無いとは言えない。」
太宰は息を飲んだ。
その様子を満足そうに見た後、今度こそ去っていった。
ド「ではいずれ。『約定の地』にて。」
ドストエフスキーが去って間もなく、敦と国木田が倒れた太宰の元に駆けつけた。
朦朧とした意識の中、太宰の中を占めていたのは今後の作戦と最愛の姉の事だった。
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ユウ(プロフ) - 更新まってます! (2021年10月25日 13時) (レス) @page37 id: d7bd017054 (このIDを非表示/違反報告)
yuuna1202(プロフ) - 呪術廻戦とのコラボが見たいです!! (2020年12月8日 16時) (レス) id: 1a3b3ba982 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - クレハさん» そんなことないですよ!恥ずかしながらうっかり見落としていたので助かりました。ありがとうございます! (2019年11月21日 21時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
クレハ(プロフ) - 甘栗さん» 初コメントが指摘ですいません!しかし、気になったもので……無理せず頑張ってください。 (2019年11月21日 21時) (レス) id: a8882568e6 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - クレハさん» 変換ミスしてました!教えていただきありがとうございます。 (2019年11月21日 21時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年8月1日 17時