歴代最年少幹部の姉、江戸へ

Another-13 ページ15

国木田side

探偵社に敦の荒々しい声が上がった。
社の雰囲気は全体的に張りつめている。

敦「社長が襲われたって本当ですか！？」

国「嗚呼、一命は取り留めたが謎の症状で意識不明。

与謝野女医でも治せんらしい。」

昨晩、路地裏にて社長が襲撃された。

社長程の武術の達人がやられるとは…。

何よりも与謝野女医の異能力が効かないのが問題だ。

書類に目を通しながら込み上げる焦りを押し付けていると、太宰が手を上げた。

太「聞き込みをしてきたよ。」


太宰曰
ここ最近似た暗殺事件が頻発しているらしく、仮面を被った正体不明の異能者殺しが犯人らしい。


　 『仮面の暗殺者』



早く捕まえて社長の症状を解除させなければ。

しかし、太宰は我々が動く前にポートマフィアが動くという。


マフィアの威光を保つために先手を打つだろうと。

おそらく今頃はポートマフィアが隠れ家を突き止めているだろう。

確かに暗殺者が動くような場所等の情報網はあちらの専売特許だ。

ならばこちらができることをやるまでだと眼鏡を上に上げていると太宰の様子が少し変に思えた。

太宰のことだから厄介事を他に押し付けられると喜ぶと思っていたのだ。

だが、太宰の顔は恐ろしく冷たい。

敦「あの、太宰さん…？

社長の一大事で怒るのはわかりますが…」

一瞥されただけで震え上がりそうな冷たい眼差しに恐れをなした敦が訊ねると

太「社長の方も心配だよ。

でもね、私にとっての一番の気掛かりは別なんだよ。」

敦「他にも何か起きてるんですか！？」

国「何だと！？」

一般人に被害が被ってしまうのはまずいぞ。
何があったのだ？

太「姉さんの所の二人から聞いた話だと、姉さんが行方不明になってるんだよね。

尻尾を掴んだか、尻尾を掴んでいるのをバレて捕まったか…。

どちらにせよ、姉さんを拐かすなんて万死に値するよ。

捕まえたらどうしてやろうか…。」

どっちが敵なのかわからないような黒い笑みを浮かべた太宰に敦は小さく悲鳴を上げた。

単に出掛けてるのでは？と思ったが

“姉さんが私のメールに返事をしないなんてあり得ない！”

と太宰が騒ぎ立てたので大きな溜め息が出た。

谷崎に負けず劣らずのシスコンだなこいつは…。

呆れて物も言えん。

太宰が言うことが本当ならば太宰姉まで行方不明になるとは…。

偶然か、敵の策略なのか。

警戒するに越したことは無い。









共喰いが本格的に始まるまで後───────

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