77話 ページ6
満身創痍の身体で戦っていた彼等の攻撃は無駄ではなかった。着実に歪みを追い詰めていたのだ。とどめとなった私の一撃に沈んだ歪みは宙を漂いながら問う。
『何故お前達は私が与える安寧に身を委ねない?』
「幸せは他人の手に委ねるものではない。自分で見つけ自分の手で得る。そうしていく中で他の人達と支えあい新しい幸せを一緒に見つけるんだ。」
きっぱりと言い切る私に対し
『人と人が交わる度に互いを傷つけあい心を磨り減らす。私を退けたとて、その歪みに終わりなどない。』
確かに人と人の話だから似たような悩みはつきないだろう。この調子だと第二の歪みが現れてまた同じことが繰り返される。
それじゃ意味がない。
「確かに私達が出した答えが常に正解だとは限らない。不本意に人を傷つけたり自分が傷つくときだってあると思う。それでも私は自分が導いた答えに納得できる人生でありたいと思う。」
『何時如何なる時も惨憺たる嵐は人間の心に吹き荒れる。それでもお前たちは己の足で地を踏み締める覚悟があるというのか。』
引かない歪みに対して口を開こうとすると
中「人間を甘く見るな!」
太「わかっただろう?其が私達の答えだよ。」
思わぬ擁護に彼等の方を振り替えり目を見開くと治と中也は力強く笑い、敦と芥川は深く頷いた。
改めて歪みに向かって高らかに宣言する。
絶対なんて誰にも分からない。
誰かが決めることでもない。
私がどうしたいのか考えてみたら
彼等と一緒にこの世界を自分の足で歩いて行きたいってそう思っただけ。
「私は貴方には頼らない。自分の幸せは自分でつかむ!」
『辛くとも選ぶか…愚かな。』
すると歪みは私と瓜二つな人の形に戻った。
『其が人間の意志だというのなら、その可能性見せて御覧なさい。だが、忘れてはいけない。私は人間たちの望みによりこの姿となりて出でし者。人間達が求め続ける限り私は何度でも現れるということを。』
歪みは微笑み光の粒子となって消えていった。
光の粒子が世界を包む。
雲が晴れていきいくつもの光の筋が横浜の街に降り注ぐ。
私は異能力を解除する。巫女のような装束は文字の羅列ととなって消えていった。
元の服は砂埃と血でぐちゃぐちゃになっていた。
満身創痍だがやりとげた充実感に満たされている。
すると治と中也が満面の笑みで
太「お帰りなさい、姉さん。」
中「お帰りなさい、Aさん。」
そんな二人に私はにこりと口の端を吊り上げて
「ただいま。」
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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時