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114話 ページ44

前に躍り出た俺をAさんは横たわりながら見上げてきた。
自分が一大事だというのに逃げろと訴えている。
八咫神成は飛び出てきた俺に呆れた顔をしたがAさんを見下ろして

八「見とくといいよA。君の判断が遅いから犠牲者がでる…コイツみたいにな。」

Aさんはびくりと体を震わせて必死に落ち着こうとしていた。

八咫神成とAさんの関係はわからないが、放っておくわけにはいかない。
良くわからないがAさんは脅えすぎている。

考えてる暇なく、奴は俺に向かって見えない攻撃を繰り出した。
俺はAさんを抱えて後ろに跳躍した。
そして少し離れた場所にAさんを降ろそうとすると、Aさんが震える手で俺の腕を掴んできた。
Aさんを安心させるように柔らかい表情で微笑んだ。

中「大丈夫なので、少しの間待っていてください。」

納得いかなそうなAさんを降ろすと俺は八咫神成に向き合って重力操作を行う。
手短にあった小石を拾い、重力で弾丸のごとく撃ち出した。
八咫神成に的中したかと思いきや小石は宙に浮いたままぴったりと静止していた。
先程までじめじめとしていた辺りの空気が乾燥している。
そこで敵の攻撃の手口を理解した。

中「水か!」

八「へぇ、良くわかったね。」

八咫神成は大気の水蒸気、もとい水を超高速で動かすことで見えない攻撃を繰り広げていたのだ。
水だって圧縮させれば刃物のような立派な武器となる。
大気に含まれている水分は膨大な量である。それに加え此処は湾岸だ。
奴に有利な場所ということか。

中「水を操れるってことは気圧を弄っているのかぁ?ベクトルは此方の専売特許なんだよっ!」

地面を蹴りあげ八咫神成の懐に潜り込む。
中也の拳が八咫神成の腹を貫いた。
圧倒的な力の差を見せつけたかに思えた。
しかし

中「人形…!?」

中也の拳に腹を貫かれた八咫神成は軽快な音を出して砕け散った。
倒した八咫神成はデッサン人形の様な木製の人形だったのだ。
パラパラと音を立てて木片が飛び散る。

罠だと気がついた頃には時既に遅し。
建物の上に二人の男が立っていた。一人は先程まで戦っていた八咫神成、もう一人は何時からいたのか桃色の短髪の女が立っていた。
八咫神成の腕の中には抱えられぐったりとしたAがいた。

八「怖いなぁ。でも、目的は達成されたから帰るよ。じゃあね。」

中「おいっ!Aさんを何処に連れていく!?」

無情にもAは連れ去られていった。

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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

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