99話 ページ28
私は振り替えって森さんを見つめ返す。
相変わらず何でも見透かしているような視線が突き刺さる。
森「帰ってくるなら今までの空白の時間も仕事の一環として処罰は与えない。それとも──」
重罪人として処分されるか。
言葉にされなくても理解できる。
処分する側にいたのだから。
森さんは私の選んだ道を受け入れることはないだろう。
それでも私はやりたい事の為に行く。
何を引き換えたって決して逃げたりなんかしない。
一時的とは言え、育ての親に曖昧な言い訳で有耶無耶にしたくない。
私は異能力を解除する。
ほんの微かに森さんの瞳が揺らいだ。
「本当は貴方にこの姿で会うつもりなど無かった。…姐さんに感謝してくださいよ?」
息を深く吸って私は先程の質問の答えを返す。
「私は貴方の元には帰らない。」
誰だって何かを背負った上で必死に生きてて、迷っても悩んでも変わることはない。
だから私は前に進む事を選んだ。
彼等の隣で胸を張って立つ為にも私は幸せになるんだ。
黙っている森さんに私は不敵に笑い
「私を消したいのなら消しゴムでも何でも持ってきてみたまえよ?」
どっからでもかかってこい!とポートマフィアの首領に宣言するなんて正気では無いと思うが私と森さんの関係ならこんな風に軽口叩きあっている方があっている。
そんな意図が汲み取られたのか森さんは肩を竦めて困り顔で笑っていた。
森「全く、君達姉弟は一体誰に似たんだか………揃いも揃って反抗的だ。」
反抗的な人間は反逆因子として警戒しないといけない。それならいない方が良い。だから気が変わったら戻っておいでと森さんはポートマフィアの首領とは思えないような穏やかな表情をしていた。
虚を突かれた私はなんとなく悔しくて頬を掻きながら目線をそらす。
すると下腹部に砲丸が突撃してきた。
グハッとまたしても乙女らしくない断末魔が廊下に響く。
衝撃によりチカチカした視界が落ち着き、何が飛んできたのか見てみるとエリス嬢がしがみついていた。
困惑する私は譫言のようにエリス嬢に声をかける。
「え、あ、あのー?」
エ「馬鹿A…!心配したんだから!」
潤んだ瞳で見上げられて私は言葉に詰まった。
エ「何で戻ってこないのよ!馬鹿馬鹿!」
ポカポカと小さな拳で叩かれる。
私はエリス嬢の目線に合わせて屈んで
「黙っていなくなってごめんね。どうしてもやりたいことがあるんだ。また遊びにくるから許してくれないかい?」
お願い、と頼むとエリス嬢は
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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時