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112話 ページ42

ずるずると体を持ち上げ八咫神成を睨み付ける。

八「どうして逃げるんだい?」

無意識に異能力で欺いていた私に問いかけてくる。

八「結局君は何も成長してなんかいない。」

一歩また一歩と近づいてくる八咫神成。

八「お前はあの時のままなんだよ。」

落ち着けたはずの心拍が早鐘を打つ。

八「欺いていないと己を保つことが出来ない癖に。」

目の前にある兄の瞳に怯えている私が映った。

八「まさか分かり合えるなんて思っているのか?」

恐怖に呑まれて声がでない。
歯がカチカチと震えて音が鳴る。

八「そうでなくても─」

"お前は彼奴等を信用なんかしてないもんな"

「違うっ!!!」

そんなことない!私は──

八「本当に言い切れるのか?」

何時もは兄の微笑は安心できたのに今は恐怖を煽る。

八「お前が求めているのは本の世界にいる彼奴等だろう?」

今、生きている彼奴等を見てなんかいないんだよ。

悪魔の囁きが私を支配していく。

私は、私は──

八「おいで、A。僕と来るんだ。そうすれば全てを忘れて苦しい思いをしなくてすむ。」

「全、部…忘れ、る…?」

八咫神成は笑みを深めて頷いた。

「ふざけるな…!」

見て見ぬ振りなんて御免だ。
そんなの歪みの言っていたことと変わらないじゃないか!
何よりも

「その顔で、その声で、私を惑わすな!!」

私が叫ぶと八咫神成は態度が一転して

八「手荒な真似はしたくなかったけど…Aが悪いんだよ。」

八咫神成が此方に向けて手を翳すと見えない攻撃が私に飛んできた。
軌道がわからない為避けるにも避けれない。
隙が無いわけでは無いが手の内がわからない今、迂闊に手を出せない。
きっと兄に手を出したくないという感情の現れでもあるのだろう。
防戦一方の私に八咫神成は

八「まだ諦めないの?余り傷付けたくないんだよね。」

「それ、が本性…?やっぱり兄さんじゃないじゃん…!」

挑戦的な口ぶりだが戦況は不利なままだ。
近づいてくる足音がある。
八咫神成の増援か?
そちらに意識を向けようとすると八咫神成が私の懐に飛び込んできた。

「っ!?…しまっ!!」

八「大人しく着いてきてくれないみたいだから、暫くは脱け殻になっててもらうよ。」

八咫神成は私の胸元をとんと叩いた。
するとドクンと動悸のような感覚が走る。
そのまま私は崩れ落ちた。

中「Aさん!!!」

先程の足音は中也だったんだ。
来ちゃいけない、そう声を出そうとすると─

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甘栗(プロフ) - ウナさん» どんどん中也さんの活躍増やしていこうと思ってます!ドキドキしてもらえるように頑張ります! (2019年4月4日 19時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
ウナ - うわあ、もうかっこよすぎです、中也!!やばいですよもう!凄いです! (2019年4月4日 18時) (レス) id: 0bc8f10023 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - チョコ味の白兎さん» 確かに口調が敦君みたいですね(笑)色々な関係が動く予定なので楽しみしててください! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 雪宮暦さん» カッコいい中也を目指してるのでそう言って貰えて嬉しいです! (2019年3月30日 20時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
チョコ味の白兎 - 最後のセリフが敦くんっぽい!ここからの展開が楽しみ! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 8cc010c4ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月28日 16時

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