60話 ページ38
中也もまたビル街に向かっていた。
太宰とは逆の裏のルートで来たため道は一層荒れている。
車で行くにしても行ける範囲が限られているので途中で車から降りて向かった。ある程度進んだところで見覚えのある男に出会う。
中「手前は…」
翔「よう、又会ったな。ポートマフィア幹部殿?」
赤い髪に金色のピアスが特徴的な三白眼の男だ。デニムの繋ぎにカーキ色のジャケットを羽織った町中にいそうな普通の青年だ。
だが前に出会ったのが組合との抗争中だったことと富受という警戒すべき相手の仲間ということから警戒せざるを得ない。
翔「そんな下から睨まれてもなぁ。」
中「んだとコラ!?」
下らない挑発に乗ってしまった中也は改めて相手の実力を図ろうとした。
あの時は気がつかなかったが中々に鍛えられているな。
一触即発の雰囲気の中、翔は話始めた。
翔「アンタはこれから彼処で何するつもりなんだ?」
どうせ行ったところでなにもできないと暗に言っているのだ。
中「手前には関係ねぇだろ。」
舌打ちを打って睨み付ける。
翔「調べたけどアンタの一時的な師匠としていた太宰Aの仇なんだってな。」
Aの名を出されて中也は目の色を変える。
翔「弟の太宰治ならまだしもアンタが行く意味あるのか?」
中也の経験からなんとなくこいつが自分を図っている事がわかった。
中「付き合いが短いとかそんなの関係ねぇだろ。俺はAさんに数えきれないほどのモノを貰った。」
きっとあの人からしたら大したことないのだろうが。Aの事を思い出したらやるべき事が見えてきた。
中「どうしてあの人があんな最期を選んだのか知りてぇんだ。」
翔「知ってどうする?」
中「そんときはそんときだ。」
清々しそうな中也の表情に翔はため息を吐いた。
何故ため息をはかれたのかわからない中也はムッとする。
翔「今のアンタなら任せられるな。」
何を言ってるのだろうかと不審そうに見ると
翔「わかってんだよ…俺らじゃマスターを救えない。」
ますますわからないと首を傾げると翔は笑い出した。一頻り笑うと真面目な顔つきに変わり
翔「マスターを頼む。あの人救えるのはアンタらだけだ。」
翔に自分と似た何かを感じ取った中也は誠意を込めて
中「おう、任せとけ。」
翔が小さく笑って道を譲る。
中也は通りすがりに翔の肩に手を乗せてからその場を去った。
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甘栗(プロフ) - クレハさん» 私の趣味丸出しです笑。そう言ってもらえて嬉しいです。頑張りますね! (2019年2月26日 15時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
クレハ - すごく面白いです!私の好みドンピシャです。更新待ってます。 (2019年2月25日 23時) (レス) id: ddd19fa939 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 飛鳥さん» いえいえ!お役に立てて良かったです! (2019年2月23日 12時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥 - 甘栗さん» 教えてくださり、有難うございました! (2019年2月23日 9時) (レス) id: e183043180 (このIDを非表示/違反報告)
甘栗(プロフ) - 真昼ノ夜さん» そう言ってもらえて嬉しいです!頑張ります!! (2019年2月22日 18時) (レス) id: 8ba49da6fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:甘栗 | 作成日時:2019年2月4日 19時