旦那様と壁の向こう (ページ16)

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「今は無いけど俺が作るよ、愛可さんの自由と静かに暮らせる場所」
『ありがとうございます、ついて行きます』
「ありがとう」

愛可さんの許可をもらってこの町全てが国になる前に俺と愛可さんは離れる事にした

「…」

兄弟の話だと明日から国になるらしい、愛可さんの怪我も完治した

「愛可さん」

扉越しに声をかけると扉が開く

「今日の夜行こうか」
『はい』

兄弟には手紙を残して離れた、この国の半分は国と見做されていないから、半分の町に住む事にした

「愛可さんの力を教えてほしいんだ」

愛可さんはしゃがんで俺の周りを四角く囲って元の場所に戻る

『私の力です』

俺は不思議に思い一歩足を出すとコンと音がした

「え？」

俺は見えないナニカにぶつかった

「どうなってるの？」

俺は手に触れて見えないナニカを軽く叩くとコンコンとガラスを叩く音がした

「ガラス？もしかして壁？」

俺は愛可さんを見ると

『私の力は見えない壁を作って守る事です、戦闘には向いていません』
「壁か…あっ！」

俺は愛可さんを見て

「町半分を見えない壁で守ってくれないかな？」
『どうしてですか？』
「この町を守りたいんだ、愛可さんの力を貸してほしい」

愛可さんは手を見てから

『強度はどのくらいにしましょうか？』
「きょっ、強度？えっと…一番頑丈のを…」
『わかりました』

俺は愛可さんを見て

「力を貸してくれるの？」
『はい、助けてもらいましたから』

俺と愛可さんは町の境目に立って

「愛可さん、お願い」
『はい』

愛可さんはしゃがみ地面に四角を書いた

『出来ました』
「ありがとう」

(愛可)

「って事だね」

そう言って私を見る

『旦那様との出会いと壁が出来た理由ですか』
「うん、他にあるかな？」

メイドさんが紅茶を持ってきてくれる

『ありがとうございます』

メイドさんは軽くお辞儀をして離れて行ったのを見てから旦那様の方を向き

『2つお聞きしたいです』
「いいよ」
『旦那様の話にでてきた、‘能力者殺害団体‘とは何ですか？』
「名前のどうり、当時の国の王様が能力者嫌いで能力者を全員殺すって宣伝しちゃって、軍隊や兵士達が見つけ次第牢獄に捕えてたって話」
『それで私は追われていたのですね』

１人で納得していると旦那様に不思議な顔で見られる

「愛可は記憶がないの？」
『はい、旦那様に助けてもらった時からしか覚えてないです、旦那様は狙われないのですか？』
「俺は君を捕まえる側だったから」