メモNo.25(私とあらかわさん) ページ30
七夕当日にあらかわさんが短冊を見ていた
「あらかわさんおはよう」
『おはよう』
あらかわさんは挨拶をしてからまた短冊を見ている
「何で短冊見てるの?」
『どんなお願い事書いたかなーって思って』
そう言って私はあらかわさんの隣に座って自分の短冊に手を伸ばしてひっくり返して見るとあの文章のままだった
『それが愛華の書いた短冊?』
「うん、叶わなかったから捨てようって思って」
自分の短冊を笹から外そうとするとあらかわさんに止められる
『俺の願い事叶えてないから外さなくていいよ』
「でも…」
私のお願い事なんて絶対に叶わないから外した方がいい
『まず、俺のお願い事から叶えてもらうか』
「え?」
あらかわさんは私を見て膝の上をポンポンとするから私はとりあえずあらかわさんの膝の上に向き合うように座ると優しく抱きしめられる
「あらかわさん?」
『なぁ、愛華』
「何?」
『俺が今の奥さんと別れるって言ったらどうする?』
「え⁈離婚するの⁈」
驚いてあらかわさんの方を見るとあらかわさんは笑って
『まだ決まったわけじゃない、例え話だ』
「良かった…」
『良かったのか?』
「うん」
あらかわさんは不思議そうな顔をしている
「あらかわさんが今の奥さんと結婚して幸せなら私は嬉しいよ?」
そう返せばあらかわさんは
『お前が違う意味で喜ぶかと思った』
「私はそこまで最低な人間じゃないもん!」
少しだけ怒ってむーとするとあらかわさんは
『悪かった、冗談だ』と言って頭を優しく撫でてくれる
「あらかわさんは今の奥さんと別れたいの?」
真剣な顔をして聞くとあらかわさんはいつもの優しい顔で
『別れたくはないな、奥さんに結婚したい人が出来るまでは』
と言われて私に向ける優しい顔とは別で優しい顔をしている、この優しい顔は奥さんに向ける優しい顔なんだ…
「そうだもんね…」
『愛華?』
しょんぼりしている私にあらかわさんの手が頬に触れて上を向かされる
『愛華、好きだよ』
「私も好きだよ、あらかわさん」
ニコリと笑って言うとあらかわさんは
『愛華』
「何?」
あらかわさんを見ると
『いや、愛華が幸せならそれでいい』
「私はあらかわさんと一緒に居れるだけで幸せだよ」
そう言ってニコリと笑ってあらかわさんを抱きしめた
あらかわさんが居てくれるだけでいいのに…
でも…あらかわさんの全部がほしい…
心も体も…
叶わないのに願っても意味ないよね…
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作者名:P4lwL6FvcvmThfX | 作成日時:2022年2月18日 16時