メモNo.23(私とあらかわさん) ページ27
あらかわさんの声がした、私はすぐ自分の耳を塞いだ
あの奥さんの話は聞きたくないし、ほっといてほしいのにほっといてくれないし…
しばらくしてゆっくり塞いでいた耳から手を離すとあらかわさんが後ろから私の前に来てしゃがみ、私の手を握って
『嫌な思いさせてごめんね』
いきなり謝られても困る、私は返事をせずプイッと顔を逸らすと
『これから家に帰って一緒にのんびりしない?』
いつもならその提案に嬉しく思うが今の私には嬉しくない
「奥さん所に行って来たら」
いつもより冷たい声が自分から出てきて内心びっくりしているとあらかわさんが
『奥さんは別用があるから用事があるまでは会わないかな』
そう言って私の頬をあらかわさんの優しい手が撫でる
『愛華』
あらかわさんの優しい手で嫌でもあらかわさんと目が合う
『毎日愛華が俺に大好きって言ってくれるのは嬉しいし、俺も愛華が大好きだよ』
「知ってる…」
あらかわさんが誰ともお付き合いも結婚もしてなければ、あらかわさんの大切な人と認識してもらえたかもしれない
『俺は奥さん好きだしも大好きだから』
「奥さんと妹は一緒にしちゃダメだよ」
奥さんはちゃんと好きで妹の立場にいる私はあらかわさんにとってはとくべつ大切ではない
『そうだね、奥さんと愛華を一緒にしちゃダメだね、ごめんね』
困った顔をして笑うあらかわさんにわたしの胸が苦しい
あらかわさんを困らせたいわけじゃない、笑う程度で困らせたいだけなのに…
「あらかわさん…」
『うん』
あらかわさんに言う覚悟を決めて
「私はその」
『ねぇ愛華』
続きを言おうとするとあらかわさんに止められる
『愛華が俺から離れるって言おうとしてる?』
私が言おうとしていた言葉を当ててしまったあらかわさんに心臓がドクンと跳ねた
「もし…そうだったら?」
あらかわさんは立ち上がり私の手を引っ張って立ち上がったと同時にキスをされる
「んっ…」
あらかわさんと距離を取ろうとしてみるけど女性が男性の力に勝てるわけがなく、ゆっくり顔が離れた時に
『俺は愛華が居てくれるから嬉しいんだよ、愛華が離れるなんて言わないで』
悲しい顔をして私を見るあらかわさん
「妹の立場の私にキスって…」
『俺からしたら妹だけど、大切な人でもあるんだよ、愛華は』
そう言って抱きしめられ、複雑な気持ちがありながらもあらかわさんが好きな気持ちもある
「あらかわさん」
『ん?』
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作者名:P4lwL6FvcvmThfX | 作成日時:2022年2月18日 16時