第６話 ページ8
青年が携帯電話らしきもので話し出した。
先程の音の正体は着信だったらしい。
今ならいけるのでは、と思い、通話している隙に横をすり抜けようと試みる。
しかし、背が高いということはもちろん腕も長いということで。
試み虚しく、あっさりと手首を掴まれてしまった。
「今？今はねぇ……鬼ごっこして遊んでたところ♡…………ん？ちがうよぉ、ペンギンちゃん♡小エビちゃんには会ってないもん」
『やっ、はなし……』
「ペンギンちゃん、うるさい」
『？！』
「ごめーん、聞こえなかったー」
ジタバタしているのが気に召さなかったらしい。青年は突然、今までの声とは比べ物にならないくらい低い声で言い放った。その声のトーンや放つ雰囲気が怖くて私は固まる。
青年には気にするつもりは無いようだ。こちらに声を掛けたのも視線を向けたのも一瞬だけで、すぐに電話へと意識を戻していた。かなりの気分屋なのかもしれない。
「しらなーい…………えー？んー……さぁ？散歩してたら中庭にいたんだよねぇ。制服？着てないよ？なんか違う服」
その後も何か電話で言い合っている様子だった。捕まってどうすることもできない私は、通話する青年を大人しく見つめる。
じっくり見て思ったのは、珍しい髪色だと言うことだ。髪全体がターコイズ色で前髪の一部にだけ黒いメッシュが入っている。日本人ではなかなか見ない髪型だ。
いや、日本人じゃなくても見ない色だ。話しているのは日本語なのでコスプレをしているのかもしれない。しかし、気分屋のこの青年にそんなこと言えなかった。
逆鱗に触れようものなら何をされるかわからない……やめよう。
そうこう考えていると電話が終わったらしい。
青年は、はぁーと長く深いため息をついた。
「あーやだやだ……めんどくせっ」
少し口を尖らせてながら言う青年。プクッと膨らませた頬が、図体に似合わず可愛らしいなんて一瞬思ってしまった。
『あの、お兄さん？』
「お兄さんて誰？オレ？」
青年の言葉に頷くと、それはそれは深く眉間にシワを寄せた。ものすごく嫌そうである。
「何言ってんの？オレはお兄さんじゃなくて“フロイド”」
『で、ではフロイドさん、あのですね……その、腕を離してもらえませんか？』
「え〜？だめ〜、ジェイドが迎えにくるからねぇ」
……ジェイドさん？誰ですか……
.
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小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» 台詞の中に違和感なく潜んでるのがいいですよね。そんな要素を探すのもツイステの楽しみですし、ツイステから入った方に、そういうささやかな楽しさを伝えていきたいです(o´艸`) (2020年8月9日 15時) (
レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 小崎相良さん» アリス、というかディズニー全般歌が多いから、余計に勘ぐってしまう…好きだなぁやっぱり (2020年8月9日 15時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» コメントありがとうございます。そうなんですよね！細かいところに原作の要素が散りばめられてて、気づくとあっ！ってなります。 (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 春の庭、春の庭…アリス、……ゴールデンアフタヌーンを入れ込んでたのか…さすが制作陣。拘るなぁ…とても好き (2020年8月9日 9時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - マチさん» コメントありがとうございます！お気に入りいただけてとても嬉しいです！不定期更新ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年7月28日 0時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年6月6日 10時
