第31話 ページ33
『わっ』
リリア先輩が人差し指を出すとその指に一匹の蝙蝠がぶら下がった。全長5センチくらいの小さな蝙蝠だ。
蝙蝠を近くで見るのは初めてだったので、そちらに視線が向く。可愛らしい目に小さな体を持つこの生き物はとても愛らしかった。
私がじっと蝙蝠を見つめていると、蝙蝠もこちらを静かに見つめ返してくれる。
『……可愛いですね』
「そうじゃろ？お主に何かあれば此奴にはわしのところに来るよう伝えておいたぞ。連れて歩いてやってくれ」
『はいっ』
「良い子じゃ」
私が返事をして指を差し出すと蝙蝠は私の指部と移動してきた。大人しいその子は、私の指に足を引っ掛けてじっとしている。その姿が可愛くて、私は自然と笑顔になっていた。リリア先輩はそんな私を見て、とても嬉しそうに笑っている。
それから少しの間、リリア先輩と一緒に星空を眺めていた。
その星空は現代では見たことがないくらい美しくて、私はこの世界を初めて“綺麗な世界だ”とそう思った。
ーーー
翌日、ドンドンという大きな音で目を覚ます。
目覚めは最悪だったが、昨夜、リリア先輩が話を聞いてくれたおかげか、深く眠ることのでき、私の頭はとてもスッキリしていた。しかし、ドアを叩いていると思われる音がなかなか鳴り止まない。ユウくんはまだ寝ているのだろうか？代わりに、返事をしようとしたその時だった。
「ハイハイ！今出るからドア叩くな！」
ユウくんではない誰かの声が響いた。
明るく若い声だ。もう1人の寮生の“グリムさん”だろうか？
私は声の主を見るべく、玄関の方へと向かう。壁の影からそっと覗くと、わあわあと話し合う2人の青年が見えた。
紺碧色の髪に緑青色の眼を持つ青年と茶髪の青年の後ろ姿が見える。室内側にいるのが茶髪の青年なので先程の声はどうやら彼のもののようだ。
「…………れなかった奴が、3人ほどお前と同じ目にあってたくらいだ」
「全然そうでもなくねぇじゃん！めっちゃ怒ってるじゃん！」
叫び声にびっくりして後ずさる。同時に後ろに転がっていた木材を蹴飛ばしてガン、と言う大きな音が鳴った。
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小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» 台詞の中に違和感なく潜んでるのがいいですよね。そんな要素を探すのもツイステの楽しみですし、ツイステから入った方に、そういうささやかな楽しさを伝えていきたいです(o´艸`) (2020年8月9日 15時) (
レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 小崎相良さん» アリス、というかディズニー全般歌が多いから、余計に勘ぐってしまう…好きだなぁやっぱり (2020年8月9日 15時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» コメントありがとうございます。そうなんですよね！細かいところに原作の要素が散りばめられてて、気づくとあっ！ってなります。 (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 春の庭、春の庭…アリス、……ゴールデンアフタヌーンを入れ込んでたのか…さすが制作陣。拘るなぁ…とても好き (2020年8月9日 9時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - マチさん» コメントありがとうございます！お気に入りいただけてとても嬉しいです！不定期更新ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年7月28日 0時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年6月6日 10時
