第20話 ページ22
ジェイドさんはこの学園にある寮のことを教えてくれた。
オンボロ寮以外にも７つの寮があること。
グレート・セブンという伝説の存在がいて、７つの寮はグレート・セブンの精神に倣っていること。
「それぞれの寮には寮長がいてアズールもその1人なんです」
「はい、僕たちは海の魔女の慈悲の精神に基づくオクタヴィネル寮の生徒です。その他に、ハートの女王の厳格な精神に基づくハーツラビュル寮、百獣の王の不屈の精神に基づくサバナクロー寮、砂漠の魔術師の熱虜の精神に基づくスカラビア寮、美しき女王の奮励の精神に基づくポムフィオーレ寮、死者の国の王の勤勉な精神に基づくイグニハイド寮、茨の魔女の高尚な精神に基づくディアソムニア寮がありますね」
そんなに覚えられない。
目の前でスラスラと話すアズールさんの頭の中はどうなっているんだろうか。
『ええと、皆さんはオクタビネル？なんですね』
「あはっ、言えてねぇし」
「オクタヴィネル、ですよAさん」
『おくたゔぃねる？』
「はい」
「どの寮の名前も覚えておいて損はありません。貴方はナイトレイブンカレッジの生徒になるのでしょう？」
なりたく無いが、生活していくためにはなるしか無い。
心の中を不安で埋め尽くしたまま、私はジェイドさんに『……はい』と答えた。
「Aさん、着きましたよ」
それは数部屋の明かりが灯った建物だった。オンボロという名に相応しく、門の立て付けは外れているし、木には蜘蛛の巣が張っている。
先ほどまでいた校舎も趣があったが、ここはそれ以上だ。怪しい雰囲気が漂っていて踏み入るのを躊躇いたくなった。
「ここがオンボロ寮です」
『……』
アズールさんには申し訳ないが、言葉が出てこなかった。建物の窓には板が打ち付けられていてとても人が住むような環境だとは思えない。こんなところで私は暮らすの？先のことを考えると溜め息が出る。
「行きますよ、Aさん」
アズールさんはそんな私など気にかけることなく玄関へ向かって歩いていく。扉の前に着くとガンガンとドアノッカーを数回鳴らした。音に反応して、奥から「はーい」という声と共にパタパタと足音が聞こえる。扉はギィと音を立てて開き、中から黒髪の優しそうな青年が現れた。多分この人がオンボロ寮の監督生の“ユウさん”だろう。
「……アズール先輩…でしたっけ？」
「こんばんは、監督生さん。夜分遅くにすみません！……少し、よろしいですか？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 195人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» 台詞の中に違和感なく潜んでるのがいいですよね。そんな要素を探すのもツイステの楽しみですし、ツイステから入った方に、そういうささやかな楽しさを伝えていきたいです(o´艸`) (2020年8月9日 15時) (
レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 小崎相良さん» アリス、というかディズニー全般歌が多いから、余計に勘ぐってしまう…好きだなぁやっぱり (2020年8月9日 15時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 錨絡さん» コメントありがとうございます。そうなんですよね！細かいところに原作の要素が散りばめられてて、気づくとあっ！ってなります。 (2020年8月9日 15時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
錨絡(プロフ) - 春の庭、春の庭…アリス、……ゴールデンアフタヌーンを入れ込んでたのか…さすが制作陣。拘るなぁ…とても好き (2020年8月9日 9時) (レス) id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - マチさん» コメントありがとうございます！お気に入りいただけてとても嬉しいです！不定期更新ではありますが、これからもよろしくお願いいたします。 (2020年7月28日 0時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年6月6日 10時
