第弐話＿枷 ページ6
暗い。
怖い。
伸びてきた手は私の体を力強く掴む。
もがいても話してもらえない。
手も、足も自由に動かせない。
ここからは動けないのだ。
体のあちこちを触られるのが不快で仕方がなかった。
恥ずかしさと恐怖が同時にこみ上げ、助けを呼ぼうにも声を出すことも許されない。
逃げられない。
つらい。苦しい。いやだ。
何度も何度も伸びてくる手にガタガタと体が震える。身体を守る為、目を固く瞑り、柱に寄り添い更に体を小さく丸めた。
その時。暗い闇の中で、何か柔らかいものが頬に触れた。ふわふわした人肌とは違う感覚に驚き、目を開ける。視界に入ったのは、見覚えのある白いうさぎだった。
「……？」
小声で目の前のうさぎに声をかけると、嬉しそうに頬をすりすりと寄せてきた。その姿に心が安らぐ。
そうだ、この子は鏡花くんの肩にいつもいるうさぎさんだ。うさぎさんが寄り添ってくれていることに安心し、体の力が抜ける。すると、うさぎさんはぱたぱたとどこかへ駆け出した。
「……」
行かないでと言いたいが声を出すことはできない。どこへ行くのか目で追いかける。
「A……？」
「…………」
『！』
目の前にいたのは鏡花くんと藤田さんだった。
「ふ、触れてもいい？」
伺うような言葉に頷いて返す。鏡花くんが着ていた上着を一枚脱いで、私の体に被せた。
そして体をギュッと優しく抱きしめられる。
布越しに伝わる体温が暖かい。
暗闇に一筋の光が差し込んできて全てを照らしたみたいだった。体の震えは止まらないものの、恐怖や不安が和らいで、安堵の息が喉から漏れた。
「枷、外すぞ」
藤田さんは目線を合わせ、そう言うと体の後ろ側へと回った。
普段の表情からは考えられないくらい、穏やかな表情をしていて驚く。こんな優しい表情もするのか……しかし、その気持ちとは裏腹に身体はカタカタと震える。
するとそれを感じた鏡花くんがよしよしと背中を摩ってくれた。
「安心しなよ、A。僕がいるんだから大丈夫に決まってるだろ？」
『は、……う』
口内が乾き切っていて声が少し出しづらい。
『……ありがとうございます、鏡花くん、藤田さん』
「うん」
「ああ」
2人から朗らかな笑みが返ってくる。
2人の笑顔に安心したことで、体から力が抜けていく。
落ちてくるまぶたに逆らうことができず、私は鏡花くんの腕の中で意識を手放した。
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！ (2022年1月22日 18時) (
レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね！最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです！ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)！こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年2月23日 10時
