【その場で立ち尽くす ３】 ページ46
「私はAさんのことを知りません。どんな方と交流があるのか、ご家族の方がどこに住んでいらっしゃるのか。私はあなたについてもっと知りたいとさえ思っているんです」
岩崎さんが私を知りたいと言っている。
出会ってから、片手で足りるほどの日数しか接していないはずだ。驚きで固まる。そんな私の心情を知ってか知らずか、岩崎さんの口からは言葉が溢れ出す。
「Aさんの斬新な考えやその発想に、毎回驚かされます。それはとても新鮮な感覚で、驚かされながらももっと聞きたいと思ってしまう。どれも的を得ていて、今の世の人たちの考えが皆そうであったらいいと思うほどに、です。だからこそ貴方の話は聴いていて飽きない」
『それは私がそういう場所で育ってきたからです』
私の話は現代では実際あることだとしても、この時代では理想論だ。この言い方だと、明治の日本にそう言う発展した場所があると言っているように聞こえるだろう。しかし、掘り下げて地名を書かれたって答えられない。それは未来のことだからだ。案の定、岩崎さんは「そういう場所ですか……」と言って考え込んでしまった。
言葉選びが悪かった。
『！……すみません、失礼します』
私は会話を続けたくなくて、くるりと踵を返す。そして建物の外を目指し早足で歩いた。
岩崎さんは思案していたからか、少し出遅れたようで後ろの方から声が聞こえる。名前を呼ばれているので、追いかけてきているのだとわかった。
来ないで欲しい。
1人で居たい。
……もう傷つきたくない。傷つけたくもない。
必死で足を動かすが、ドレスとズボンでは動きやすさに差がありすぎる。結局、建物を出たところですぐに引き止められてしまった。
「……話を聞いていただけませんか」
『……』
そう言って岩崎さんが私の両手を優しく包み込む。その表情はとても真剣で目が逸らせない。
「初めて会った時、私はAさんの事を“聞き上手なご婦人だ”と、そう思いました。私自身が疲れていたのもあったとは思います。しかし、何を話すわけでもないのに、気分が安らぐあの空間は誰にでも作れるものではありません。それは、私にとってとても居心地のいい体験でした。貴方の存在に私はとても安心したんです」
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小崎相良(プロフ) - Koma?さん» お返事遅くなりすみません！ありがとうございます！ (2022年1月22日 18時) (
レス) id: 6783c5a7bd (このIDを非表示/違反報告)
Koma?(プロフ) - ちょーぜつ面白いですね！最近めいこい見始めて最初に出会った作品がこれで良かったです！ (2022年1月16日 11時) (レス) id: 286de14237 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 二酸化酸素さん» ありがとうございます！嬉しいです！ (2021年7月21日 22時) (レス) id: b1e523f101 (このIDを非表示/違反報告)
二酸化酸素(プロフ) - 本当にゲームをしてるような気分になりました (2021年7月19日 1時) (レス) id: f6be19e74d (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 鈴華さん» 楽しんでいただけたなら幸いです(o´艸`)！こちらこそ閲覧頂きまして、ありがとうございました！ (2020年8月4日 23時) (レス) id: 5536140bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2020年2月23日 10時
