Another:鴎外 ページ37
「君は魂依でしょ。危険だと思うけど」
「う……お、鴎外さんと一緒ならいいでしょう?!」
「……」
芽衣は譲るつもりはないと目で訴えていて、目線を合わせた春草がたじろいだ。
勿論、春草が言うように彼女も魂依だ。日が完全に落ちている今、出歩く許可を出したくはない。しかし、その旨だけを伝えたとしても芽衣は納得はしないだろう。何か他の理由を考えなければ。
そこで僕は思いつく。今3人で屋敷を離れると家が無人になることに。
理由としては少し弱いかもしれないが、Aちゃんが何処にいるのかわからない以上、家を無人にするわけにはいかない。
「子リスちゃんの気持ちは嬉しいのだ。心配なのもよくわかる。ただ、フミさんが帰ってしまった今、3人で出かけてしまっては屋敷が無人になってしまう。もし、Aちゃんが助けを求めて我が家を訪ねて来た時に、誰もいなくては助けられないだろう?だから、子リスちゃんは家で待機していてくれないかい?」
「で、でも」
「安心したまえ!子リスちゃんの代わりに春草が僕と探しに出るからね」
「え」
僕の言葉に驚いた春草が振り向いた。芽衣は胸の前で両手を握りしめて俯いている。彼女には酷かもしれない。しかし、出歩かせるにはリスクが高く心配なのだ。
「頼めるかい?子リスちゃん」
「……」
芽衣が下げていた目線を上げた。そしてゆっくりと春草を見る。
「春草さんも探してくださるんですよね?」
「……鴎外さんの頼みだから」
「……わかりました」
春草は芽衣と目線を合わせ、きっぱりと言い切った。その姿を見た芽衣が意を決したように言う。
「Aさんを宜しくお願いします…!」
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます!不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね!少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです!! 更新頑張ってください! 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…! (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年8月13日 19時