Another:川上 ページ33
「……」
「川上」
「なんだよ、鏡花ちゃん」
「あの子は魂依じゃなかった……？」
言われて気がつく。Aは魂依だ。
もし、今の時間帯にフラフラとで歩いていたとすれば……それは力を持たないものよりも危険だ。
「それにさ……少し前だけど、人買いがこの付近に現れて未遂のまま逃げてなかった……？あの子は明治座に観劇しに来てて、その後は置屋に戻ってない。性格からして無断で休んだりもしないでしょ……そうなると残ってる可能性は……」
「物の怪絡みで何かあったか、何らかの事件に巻き込まれた……？」
鏡花ちゃんと視線を合わせる。これは宴会に参加してる場合ではないかもしれない。居なくなってから少なくとも半刻は経っている。
「ここで悩んでいても事態は変わらねぇ……今回の公演には芽衣にも声をかけてんだ。いるか分からねえけど、森先生の家を訪ねてくる」
「それなら僕は明治座の方へ行ってみる」
「……頼む」
近くにいた芸者に一声かけ、宴会場を飛び出す。
俺と鏡花ちゃんはそれぞれ目的地へ向け歩き出した。
俺が目指しているのは森先生の家だ。
あそこには今日、Aと一緒に観劇をしていた芽衣がいる。寄り道をしているとは考えにくいが可能性はゼロではないし、芽衣が何か知っているかもしれない。
焦る気持ちとともに流れる景色も早くなっていく。いつもよりも早い速度で歩いているはずなのに、体感時間はとても長かった。
屋敷にたどり着いた俺は、森先生を大声で呼んだ。挨拶すらしていない事に声をかけてから気がつき、よほど自分に余裕が無いのだと少し呆れた。しかし今は1分1秒が惜しい。とても失礼な行動だったとは思うが、その事には触れずに声を掛け続けた。
「おい！森先生！森先生！！」
俺の声に扉を開けたのは菱田だった。
「菱田！なぁ、森先生は？」
俺の焦った様子に菱田が目を丸くする。
体を前のめりにして、詰め寄りながら俺は問いかけた。
菱田はドアノブを握ったまま、少し眉を潜める。
「え……お、鴎外さんなら書斎に……」
「芽衣は？！」
「……そこにいるけど」
少し躊躇った様子で菱田は言う。
会話を聞いていたのか1番近い部屋の扉からひょっこりと芽衣が顔を出した。
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます！不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね！少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (
レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです！！ 更新頑張ってください！ 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…！ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年8月13日 19時
