第拾漆話＿再指名 ページ22
声に反応して振り返ると、そこにいたのは嬉しそうな女将さんだった。
「A！」
『女将さん？何かご用でしょうか？』
「指名が入ってるのよ。夕顔の間に行っておいで」
『え？でもまだ』
「こっちはいいから！くれぐれも粗相をしないようにね？」
『？？』
女将さんは終始そわそわしていた。
何がなんだかわからないが、言われた通りに夕顔の間に向かう。
『お待たせいたしました。Aです。失礼いたします』
「こんばんは、Aさん。体はもう大丈夫なのですか？」
『い、岩崎さん？！』
私の驚く顔を見て、岩崎さんはくすくすと小さく笑っていた。
確信犯だ……こうなる事をわかっていて、あえて指名したのだろう。
そんな事を考えたが、ふと、前回お世話になった事を思い出す。
きちんと謝罪しなければ。
『……あ、あの！先日はご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした』
そう言って私は頭をぺこりと下げた。
「お気になさらず。体調はもう宜しいのですか？」
首を少し傾げて尋ねる岩崎さん。
彼の言葉に首を縦に振りつつ、『はい』と返す。
岩崎さんは「そうですか」と呟くと小さく笑った。
『あの後しっかりとお休みをいただきましたので……』
会話の最中もくすくすと笑い続ける岩崎さん。
何がそんなに面白いのだろうか？
「それは良かったですね？」
『良かったんですかね？』
岩崎さんの言葉に首を傾げる。
あの休暇は部屋から出してもらえなかったので、正直暇ではあった。
「今日は時間が空いたので、少し顔を出しに伺ったんですよ」
『わざわざありがとうございます……』
「それと、今日はAさんにこちらを」
手渡されたのは小さな箱だ。
『？』
「日本橋にある、風月堂で買ったチョコレエトです」
『チョコですか？！』
「！チョコレエトをご存知でしたか」
岩崎さんの言葉にコクコクと首を縦に振る。
明治に来て、目にする機会がなかったからだ。
というか、日本橋でチョコ売ってるのか……今度買いに行こう。
『はい！少し苦めのチョコが好きです！カカオの苦味が出ていると言いますか……岩崎さんもお好きなんですか？』
「好きですよ」
『ではチョコレート仲間ですね！』
そういうと岩崎さんは嬉しそうに微笑んだ。顔の整った人の微笑みは、とてつもなく可愛らしい。彼の笑いにつられてしまい2人でくすくすと笑い合う。
穏やかな時間が流れていた。
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます！不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね！少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (
レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです！！ 更新頑張ってください！ 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…！ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年8月13日 19時
