第拾陸話＿色 ページ21
ふらりふらりと雑貨屋を見て回る。
この店には髪飾りや手拭いなど、小物雑貨が取り揃えられていた。
「この手鏡とかいかがですか？」
芽衣さんが手に取ったのは丸い手鏡だった。
裏側には蒔絵で花が描かれている。
『可愛いですね。けど私は、芽衣さんを身近に感じられるようなものがいいです。常に身に付けるものがいいなぁ、と……』
「身に付けるものですか？そうですね……」
再び店内を歩き回る芽衣さん。
この時代にはイヤリングもピアスもブレスレットもない。
難しい注文だったかなと思う。
しかし純粋にそう思ったし、その気持ちを譲ることはしたくない。
襟巻きならお揃いができるかな、などと考えていた時だった。
「これはどうだい？」
一緒に店を見ていた鴎外さんが声をかけてきた。
「何かいいものがありました？」
『これは？』
鴎外さんの手にあるのは棒の先に丸い飾りのついた耳かきのようなものだった。
「これは簪と言って、髪飾りとして使うものなのだよ。知らないかい？」
『簪……』
手渡された簪を手に取る。渡されたその簪には桃色の球体がついていた。
球体には兎の姿が描かれており、とても愛らしい。
「可愛いですね！Aさん！」
『うん』
「これなら日常的に身につけられますね！色も何色かあるので、色違いにしませんか？」
『なら、芽衣ちゃんは赤だね』
「私赤っぽいですか？」
『赤っぽいかはわからないけど、芽衣ちゃんの髪色には赤がよく映えるから……』
「本当ですか？では赤にします！Aさんのは私が選びますね！えぇっと……」
芽衣さんはそう言いながら、並べられているカラフルな簪をじっと見つめている。
「これがいいと思います！」
そう言って芽衣さんが手に取ったのは、白い球体の簪だった。
描かれている兎たちは黒く、影絵のようなデザインになっている。
『芽衣さんの中で私は白いイメージなんですね』
「はい！」
「2人合わさることで、紅白になって縁起が良さそうだね」
鴎外さんの言葉を聞いた私たちはお互いの顔を見合わせて、笑い合った。
その後2人とは別れ、ナイルさん探しをしたが結局出会うことはできなかった。
本当にいるのか疑わしいくらいに出会わない。
複雑に思いつつも、気持ちを切り替え座敷に上がる。
いつものように宴会でお酌をしていると、廊下から名前を呼ばれた。
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます！不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね！少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (
レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです！！ 更新頑張ってください！ 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…！ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年8月13日 19時
