第拾壱話＿青 ページ16
そう尋ねる芽衣さんの顔は蒼白で。
見上げるように見つめられ、私は気を引き締める。
どう考えても様子がおかしい。
私に分かるのは
“川上さんの姿をした川上さんではない誰か”
が舞台に立っているということ。
自分でもよくわからないが、そう表現するしかない。
演じている、話している言葉から何となく川上さんの中にいるのは “白雪” な気がした。
川上さんの身体の中に白雪の意思が入り込んでいるような……そんな印象を受ける。
これはどういう現象なのだろうか？
『分からない……わからないけど、よくないことが起きてる。なんとかしないと……』
時は既に遅く、劇団員の人たちは帰ってしまった。
この建物の中にいるのは私と芽衣さんと川上さんのみ。
……つまり川上さんを助けられるのは、立ち会っている私たちだけ。
此方の思いなど梅雨知らず、川上さんは虚ろな表情で床を見つめている。
白雪は感情を溢れさせるかのように声を荒げていく。
「「ああ、恋しい人のふみを抱いて、私は心も悩乱した、姥、許して！」」
薄れていく川上さんの気配に焦りが積もる。
どうすればいい？
どうすれば彼を引き戻せる？
赤かった川上さんの着物は少しずつ青が侵食し、今では赤色のたもとが気まぐれに見え隠れするだけになってしまっている。白雪さんの力が、存在が強く前に出てきているからだろう。
刹那、視界は青に染まった。瞬きをした一瞬の出来事だった。それはまるで海の底にいるような深い青。
全てを飲み込むような青色に、私は思わず川上さんの元へ駆け出す。
一刻を争うように。
舞台に上がり、彼の首元に力強くしがみついた。
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小崎相良(プロフ) - 閃光のまりあんぬさん» コメントありがとうございます！不定期な更新ですみません(>_<)藤田さんカッコいいですよね！少し不器用な優しさにキュンときます(o´艸`) (2020年2月20日 9時) (
レス) id: b334f4b37a (このIDを非表示/違反報告)
閃光のまりあんぬ - とっても面白いです！！ 更新頑張ってください！ 楽しみにしてます☆ ちなみに私は藤田さんファンです…！ (2020年2月19日 23時) (レス) id: 68c769878e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年8月13日 19時
