第卅伍話_人探し ページ38
「……娘、多分とはどういうことだ」
『自覚したのが最近で……それも他の魂依の方に教えていただいて知ったので……』
警察官の男性の目つきの鋭さに、思わず背筋を伸ばす。どこまで伝えても大丈夫なのだろうか?明治時代での魂依の立ち位置も、扱われ方もわからないので、ペラペラと話すべきではないとは思う。どう応えるべきかを悩んでいると視線を感じた。
小泉さんは目をキラキラと輝かせこちらを見つめている。まるで宝物を見つけたか子供のように。一方で警察官の男性は思慮しているような、探るような表情だ。
「……最近知ったのか?自分が魂依だと?」
『はい』
「娘、名前は」
『AAです』
「いつ知った?」
『2日前です』
「魂依だと判断した者の名は?」
『鏡花くんです』
「……戯曲家の泉鏡花か」
なんだか尋問を受けているようで複雑だ。
この人の話し方や表情がそうさせるだけかもしれないが。警察官の男性が質問を重ねる横で小泉さんは「オゥ!Aサン!なんて素敵なお名前……!」と感動していて、もうわけがわからない。
物の怪を探したり名前に感動したり。
……不思議な人だ。
そこでふと気がつく。この人が警察官なら人探しも引き受けてくれたりするのではないかと。
『あの、1つ伺っても良いですか?』
「……なんだ」
『この付近で、銀髪の若い男を見ませんでしたか?』
「Aサンのお知り合いの方なのですか?」
『知り合い……まあ、そうですかね?探しているんです。ナイルさんという方で、左目の目尻にほくろがあるんですけど』
私の言葉に小泉さんは首を傾げ、警察官の男性は眉間のシワを深くする。
『私はイギリスからの賓客として帝国ホテルで過ごしていますが、そのような容姿の方は今のところはお見かけしていないですねぇ……』
「……調べてみなければわからん。少なくとも俺に見覚えはない」
『そう、ですか』
わかっていたことだが、なかなか情報が出てこない。思わず肩を落とす。
「気に病むことはありません!ではAサン、一緒に探しましょう!」
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます!私も芽衣ちゃん好きです!こちらこそ、これからも宜しくお願いします! (2019年6月30日 20時) (レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです!めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年6月15日 0時