第廿漆話_散策 ページ30
『……人探しをしてました』
「人探しぃ?あんたの家族かなんかなのかよ?」
『いえ……』
「……じゃあ東亰に住んでる友人?」
『友人と言える程親しくは……多分、東亰にいると思うんですけど……』
「はぁ?!東亰に住んでるかどうかもわからない他人のことを探そうとしてるの?!そんな奴見つかると思う?…………なに、あんた馬鹿なの?」
驚いたように声を上げる鏡花くん。
正論だと思う。住んでいる場所もそもそもいるのかもわからない人を探すのは、砂漠で米粒を探すのと変わらない。見つかる可能性は低い。実際、自分でも鏡花くんの言っていることが正しいと思う。それは分かる。わかっている。しかし、それしか方法が今のところないのだから探すしかないだろう。
『……まあ、その……色々ありまして……』
「…………んなやつ?」
『え』
「だから!どんなやつかって聞いてんの!もし見かけたら……その、教えてあげなくもないよ」
『えっと、銀髪に黒い洋装で……なんというか、葬式帰りのような感じでした。眼鏡はかけていません』
「ふぅん……まぁ、仕方ないから覚えておいてあげる。感謝しなよね!」
『あ、ありがとうございます』
そう言うと、鏡花くんはすたすたと坂を上っていった。
彼の背中を見送り、再び街中を散策する。
結局この日、ナイルさんに出会うことはなかった。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます!私も芽衣ちゃん好きです!こちらこそ、これからも宜しくお願いします! (2019年6月30日 20時) (レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです!めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです!これからも更新を楽しみに待ってます! (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2019年6月15日 0時