第拾参話＿疑問 ページ15
思わず隣にいた春草さんの袖をクイっと引っ張った。
春草さんはちらりとこちらに振り向く。
「なに」
『……う、うさぎが』
「……うさぎ？」
『ここって動物を連れて入れるんですか？』
「……そんな訳ないでしょ……なに言ってるの」
『……正面に座ってる人の肩にうさぎがいるんです』
「……」
そういうと、春草さんは何か考えている様子で一度口を閉ざす。
……何か間違ったことを言ってしまったのかと不安に駆られる。
事実を言っているだけなのに……。
思案していた春草さんは、少ししてから正面に座って飲んでいる男の子に声をかけた。
「泉」
「……なに？」
「……この子が聞きたいことがあるって。ほら、話せば？」
『え』
「やだよ！なんで見知らぬ変な服着た女なんかと話さなきゃいけないのさ」
『……』
そうだった。私はここに居るべき人間じゃなかった。ここに居る人たちは呼ばれて居るのに私はおまけで付いてきた余所者だ。
彼の言っていることが正しい。私の疑問に答える義理はないのだから。
彼の言葉を聞いて、なんだか顔が上げづらくなってしまい俯く。
「あーら、鏡花ちゃん女の子をいじめてるのかい？」
「いじめてない！あと鏡花ちゃんって言うな！」
「話くらい聞いてあげりゃいいじゃないのさ」
声につられて顔を上げると、私の隣にいたのは音奴さんだった。彼女は小言を言いながら私の隣に座る。
……春草さんと音奴さんに挟まれて逃げ場が無くなった。ここで会話の続きを聞くしか無いようだ。
「いやだね！」
「……Aちゃん、だったね？あんた、鏡花ちゃんに何を言いたかったんだい？」
「ちょっと！」
「アタシでよければ聞こうか？」
そう言ってニッと笑う音奴さん。
なんだか頼もしい。
音奴さんは急かすことなく、私の返事を待ってくれているようだった。
春草さんを見つめてみたが返事はなく、「言えばいいんじゃない？」とでも顔に書いてあるようなそんな表情をしていた。
勿論、うさぎはまだそこにいる。
うさぎ連れの青年はブツブツと文句を言っているものの、席を立つ様子はない。
『うさぎがみえて、その、』
「んん？うさぎ、かい？」
「…………え？」
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
