序章 ページ2
色々言いたいことがある。
確かに貴重な経験だとは思う。
貴重な経験だとは思うけど、
私じゃなくてもいいと思う。
でもそれ以上に思うのは
“着付けのスキルがほしかった”
ってこと。
今日は日曜日。
「お留守番、宜しくねA」
『大丈夫。温泉楽しんできてね』
「あぁ。ありがとうな」
『……いってらっしゃい！』
「「いってきます」」
今日から両親は２人で温泉旅行。
人生何があるかわからないとは聞くけど、この言葉が両親との最後の会話になるとは思わなかった。
その日の夕方、一本の電話がかかってきたのだ。
その電話は医者からだった。
電話を受けてすぐに病院に駆け込んだが、旅行先だったこともあり間に合わず。
案内された部屋は霊安室。
その寝台に眠っているかのような父と母の姿。
高速道路での交通事故だった。
トラックとの接触事故で巻き込まれてしまったらしい。
『お父さん……お母さん……』
声をかけても返事は返ってこない。
思考が一瞬停止した。
思わず手を伸ばし母の頬に触れる。
頬の冷たさを感じたところで途端に実感が湧いた。
間に合わなかったのだ。わたしは。
ぎゅっと握ってもその手が握り返されることはない。
それどころか、冷たい手は形状記憶されているかのように、その形のまま変化もしない。
揺さぶっても話しかけても目を開かない。
不甲斐なさと悲しみに押しつぶされそうになりながら、薄暗い部屋の中で大粒の涙をこぼした。
看護士さんが複雑そうな表情で扉の近くに立っているのが見えた。
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小崎相良(プロフ) - あららさん» コメントありがとうございます！私も芽衣ちゃん好きです！こちらこそ、これからも宜しくお願いします！ (2019年6月30日 20時) (
レス) id: bb37bfea9e (このIDを非表示/違反報告)
あらら - めちゃくちゃ面白いです！めいちゃん好きなんで話に出てきて嬉しいです！これからも更新を楽しみに待ってます！ (2019年6月29日 23時) (レス) id: 3866ce7f97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年6月15日 0時
