第83話:窓の無い小屋 ページ7
ガラリと教室の扉が開く。
迎えにきたオールマイト先生はなんだか焦っている様子だった。
『お仕事お疲、』
「見つかったよ！」
『？え、と？』
「…君の言っていたあの小屋が見つかったよ！今から向かおう」
『っ、はい』
嬉しそうな、でも少し困ったような…そんな表情で誘うオールマイトさん。
まだ悩んでいるけれど、たどり着くまでには決断しなければ。
そう心に決めて、オールマイトさんの後を追いかけた。
目的地まで走る。
走って走って見えてきたのは切島くん、爆豪くん、緑谷くん、梅雨ちゃんの姿。
そして
あの時に見た窓の無い木造の小屋だった。
『あの…とき……の…』
見たことのあるその光景。この世界に来る時に使った小屋と姿も形も同じそれは町の一角にあった。
「あ、A！オールマイト先生！」
「「「！」」」
「おまたせ！それにしても早く見つかったね…A君、この小屋がそうなのかな？」
オールマイトさんが振り返って問いかける。彼の言葉に頷き、小屋へと歩み寄った。
あの時の、この世界に渡った時の小屋と瓜二つだ。
とは言っても、そこまでしっかり見た訳では無いので細かいところまではわからないけれど。
ぼんやりと小屋を見つめていると、不意に切島くんが口を開いた。
「あ、先生、この小屋なんですけど…俺達は触れないみたいです。手が、擦り抜けてしまって…」
そう言いながら小屋へと手を伸ばす切島くん。その手はあるべき壁をすり抜け、その奥へと消えた。
まるで腕が刺さっているかのように。
この小屋は触れられる人を選ぶらしい。
それは多分、こちらの世界の人が間違えて入ってしまわないようにだろう………その配慮をするなら、そもそも移動なんてさせないで欲しいけれど。
1歩、2歩と近づく。
ドアノブに手を伸ばして握る。
手に冷たさを感じながら、ドアノブ捻るとガチャリと音が鳴った。
扉はギイィと大きな音を立てて開き、中に一脚の机が見える。
くるりと後ろを振り返ると、緑谷くん、爆豪くん、切島くん、蛙吹さん、オールマイトさん、それと、いつの間に来たのか相澤先生と校長先生が見つめていた。
視線が合い、オールマイトさんは一度だけ頷く。
行く末を見守るかのように、見送るかのように見守る彼ら。
『……いってきます』
小さな声で一言声をかけ、小屋の中へと足を踏み入れた。
後ろから誰かの
「いってらっしゃい」が、
聞こえた気がした。
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小崎相良(プロフ) - 楓さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んでくださりありがとうございました。お気持ちがとても嬉しいです(っ´ω`c)また何か思いつきましたら執筆致しますね！P.S楓さん、呼吸は大事ですよっΣ（・□・；） (2019年6月1日 18時) (
レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 完結おめでとうございます！！長い間お疲れ様でした！小崎様の小説の書き方がとても好きで、とても上手くていつも物語に引き込まれて呼吸をつい忘れてしまうほどです。この小説も何度も読み返しました！小崎様の益々のご活躍とご多幸を心からお祈りしております！ (2019年6月1日 15時) (レス) id: 6bd4d01d86 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - ゆきのさん» いえいえ！少し落ち込みましたが、付け続けて恥をさらす事態にならず良かったと、前向きに受け止めます。気を引き締めますね！ゆきのさんのお気持ちを知れた事がとても嬉しいです。お気遣いいただきありがとうございます！ (2019年5月23日 18時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - あまり数字を気に病まず、気楽に活動してくださいね。さて、物語は佳境ですね。元の世界へ戻るには、自分と同じように、どこかの誰かを犠牲にしなければならない…夢主ちゃんはどんな選択をするのか。次回更新も楽しみに待ってます(*´▽｀)ﾉ(長々とすみません汗) (2019年5月23日 16時) (レス) id: ea954c48ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - オリフラが理由で低評価が入ってしまうと少し残念ですよね。作品の評価ではなく、行動のミスに対しての評価なので…。気休めですが10点の評価入れておきました。前作のお気に入り登録者数からしても次第に点数は上がっていくと思うので、(→) (2019年5月23日 16時) (レス) id: ea954c48ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年5月23日 9時
