第82話:選択肢 ページ3
勝さんと爆豪くんにお礼を言って帰宅する。
道中に八木さんとの会話はなかった。
多分、気を使ってくれているのだろう。優しい人だから、考えるための時間を作ってくれているのだ。
無言の夕食。
結論は自分で出さなければいけない。
帰りたい、とは今でも思う。大切な家族、仲の良かった友人たちや部活の先輩と後輩。元の世界には、生きてきた中で培ったたくさんの人たちとの繋がりがある。
しかし同時に、人を身代わりにして帰って元の生活に戻れるのだろうかとも思う。
他の人の迷惑になるレベルが尋常じゃない。
現に自分はそうだった。
何故こんな事になったのかを問い続け、死を身近に感じて、囚われて自由を失って。
飢えに苦しみ、不潔感と痛みに耐えきったと思ったら、最終的に声をも失った。
このような負荷を自分の所為で、他の誰かにかけるのかもしれない。
所詮は他人だと、割り切れたら良かったけれど…
現在の生活が、たくさんの温かい人たちのおかげで成り立っていることに気づいてしまっている。
その事に気づいているからこそ、“他人だから” と簡単には割り切れなかった。
それからというもの、そのことが頭から離れなくなった。
やるべき事はたくさんある。しかし、身が入らない。
周りが中間試験の勉強に勤しむのを横目に、自らがどうするべきかを延々と考えていた。どうするべきか。どんなに悩んでも結論は出ない。
放課後、教室でオールマイトさんを待っている時、肩をトントンと叩かれた。刺激に驚いてくるりと振り向く。
「Aちゃん、すこし、いいかしら？」
『梅雨ちゃん？』
「小屋のこと、聞いたわ。難しい決断よね」
『…………考えても、自分がどうするべきか、わからなくて……帰りたいとは思います。でも、同時に他の誰かに自分がしてきたような辛い思いをしてほしくないとも思うんです…』
「そうね…でも、私はAちゃんが、正しいと思った方を選べばいいと思うわ。だってAちゃんの人生だもの！後悔のない決断をするべきよ」
『……！』
そういうと、梅雨ちゃんはにっこり笑った。
「どんな決断をしたとしても、Aちゃんは私のお友達よ。それは世界が離れたって、異世界人だからって変わらないわ」
『！』
「それが伝えたかったの。もし、小屋を見かけたら連絡するわね」
『……ありがとうございます』
背中を押してもらった。
決めなければならない。
後悔しない選択を。
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小崎相良(プロフ) - 楓さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、読んでくださりありがとうございました。お気持ちがとても嬉しいです(っ´ω`c)また何か思いつきましたら執筆致しますね！P.S楓さん、呼吸は大事ですよっΣ（・□・；） (2019年6月1日 18時) (
レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - 完結おめでとうございます！！長い間お疲れ様でした！小崎様の小説の書き方がとても好きで、とても上手くていつも物語に引き込まれて呼吸をつい忘れてしまうほどです。この小説も何度も読み返しました！小崎様の益々のご活躍とご多幸を心からお祈りしております！ (2019年6月1日 15時) (レス) id: 6bd4d01d86 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - ゆきのさん» いえいえ！少し落ち込みましたが、付け続けて恥をさらす事態にならず良かったと、前向きに受け止めます。気を引き締めますね！ゆきのさんのお気持ちを知れた事がとても嬉しいです。お気遣いいただきありがとうございます！ (2019年5月23日 18時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - あまり数字を気に病まず、気楽に活動してくださいね。さて、物語は佳境ですね。元の世界へ戻るには、自分と同じように、どこかの誰かを犠牲にしなければならない…夢主ちゃんはどんな選択をするのか。次回更新も楽しみに待ってます(*´▽｀)ﾉ(長々とすみません汗) (2019年5月23日 16時) (レス) id: ea954c48ab (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - オリフラが理由で低評価が入ってしまうと少し残念ですよね。作品の評価ではなく、行動のミスに対しての評価なので…。気休めですが10点の評価入れておきました。前作のお気に入り登録者数からしても次第に点数は上がっていくと思うので、(→) (2019年5月23日 16時) (レス) id: ea954c48ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年5月23日 9時
