第64話:提案 ページ32
「突然小屋が現れたのかい？」
『突然、でしょうか？そこまでは……ただ今までに見たことのない建物があるな、と。もしかしたら気づいていなかったのかも知れませんし、学校に行っている間に現れたのかも知れません。そこは、わかりませんけど…その小屋は帰り道、そこに確かに存在していました。見たことのない小屋だったんです。様子を見ようと近づきましたが、中からは音もしなければ話し声もなく。外見だけなら、建物は相当古びていました。見覚えのない古い建物はまるで “昔からここにあった” かのように、佇んでいたんです』
「……」
『如何にも怪しい建物なので中の様子を見ようと周りを見回しましたが、窓はありませんでした。そこで、』
「中に、入ってみたんだね？」
『……はい。中に入ってみました。小屋の中にあったのはベッド、机、椅子です。それと机の上にはノートがありました。小屋の中に入り扉から離れて聞こえたのは、バタンという音で。誰かが扉を閉めたのか、勝手に閉まったのか、風に煽られたのか…その理由はわかりません。ただ、慌てて外に出た時、その場所は知らない場所でした』
「それが、この世界、ということだね」
『はい。個性はそのあと、最初に拾って下さった夫婦の方がみつけてくださいました。個性の扱い方や、トリガー、できることの幅を一緒に考えて下さって……ただ、自分の存在で……その、ご迷惑をおかけする形になってしまったんですけど…………』
今頃どうなったのだろう。
怪我を負っていたはずだ。
もう治って元気に暮らしているのかな……。
恨まれてるかな……それだけの迷惑をかけたのだから仕方がないけれど……。
会いたいけど会いたくない。
矛盾した気持ちが心の中で渦巻く。
「そっか……それから“お頭”とやらのところで過ごして、その後“敵連合”に攫われて襲撃に参加して、今、かな？」
『……はい』
「その、小屋がここと元の世界をつなぐ鍵なんだね。うーん…A君を元の世界に返すには情報が足りないなぁ。小屋があった場所もわからないし、そもそも小屋がまだそこにあるとも限らないからね……」
『どこにいたのかもわからないので……』
「そうだよねぇ……とりあえず、君の名前は伏せて、知り合いとかヒーロー仲間に同じような前例がないか訪ねてみようと思うんだけど…………どうかな？」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 292人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
小崎相良(プロフ) - 変更の予定はないです。すみません(＞＜)こんな長い作品を読んでいただきありがとうございます。完結している作品ですので、最後まで見守って頂けたら幸いです！ (2021年8月6日 22時) (
レス) id: 4379f20890 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 来世は天海くんと最原くんのかれぴになりたいさん» コメントありがとうございます。特にこだわりはないですけど、初めての作品ですしこのまま残しておきたいなって思っています！“増やす”というのはヒロアカに出てくる傑物学園の真堂揺くんの“揺らす”から派生させて考えたものですので、 続→ (2021年8月6日 22時) (レス) id: 4379f20890 (このIDを非表示/違反報告)
来世は天海くんと最原くんのかれぴになりたい - あと増幅とか（なんか上から目線ですみませんでした） (2021年8月5日 21時) (レス) id: 06f475297c (このIDを非表示/違反報告)
来世は天海くんと最原くんのかれぴになりたい - 個性の名前増やすってちょっとアレだから増加じゃダメなんですか？ (2021年8月5日 21時) (レス) id: 06f475297c (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 星が赤色に！閲覧本当にありがとうございます！ (2019年8月4日 0時) (レス) id: e7650e4ec8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小崎相良 | 作成日時：2019年2月2日 17時
