第7話:便利 ページ9
発動の条件が対象に“唇で触れてから思うこと”とは。
林檎にキスする白雪姫かよ……と思ったが、それがトリガーなのだから仕方がない。
『増やす』か……、いろいろなことに使えそうだ。
使いこなすには個性について知らなければならない。
そこで、色々な物で試してみると、中には増やせない物があった。
それは“生きているもの”だ。おじいさんの愛犬で実験させてもらったが、犬は増えなかった。同様に根のある植物もダメだった。
この『個性』は生命には使えなかった。心臓を動かして生きているものや、生えている植物は増やすことができない。そもそも増やそうとしても反応しなかった。逆に生きているものでないことが条件なので、死んでいるものは増やせた。……虫で試したが、とても複雑な気持ちだった。……頑張ったと思う。
おじいさんもおばあさんも力の使い方が少しでもわかるようにと、個性に関する本などを貸してくれた。お陰で半年も経つ頃にはそれなりに自由に『個性』を使いこなすことができるようになった。目で見てわかるものはある程度簡単に『増やす』ことができた。数を増やすだけでなく水、表面積なども対象となったが、形の分かりにくいものを増やせるようになるにはとても時間がかかった。イメージが難しいのだ。
あと、この個性にはもう1つの利用方法があった。
『……やっぱりなんというか、その恥ずかしい……です』
「おじいさん……」
『……』
「出来たらすごいと思ったんだがなぁ」
『調べるだけですからね……』
それは他人の『個性』を増やせないか、ということだった。
おじいさんがコーヒー屋で話していた際、自分が話題になった時「個性も増やせたりしないか?」という話が出たという。生命が対象外だったので可能性は低かったが、やってみると何故か『個性』も対象になるようだった。それぞれ人によって増やされ方が違うようで、これに関しては“その人の『個性』を把握していないと発動しない”という条件があったが……。
それでも“他人の役に立つ”ことのできる良い力だとそう思った。
『個性』も増やせる『個性』とは……
便利だ、そう簡単に考えていた。
でもこの力は“誰からも便利な力”だということに気づくべきだった。
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小崎相良(プロフ) - 評価150票!皆様、ありがとうございます!嬉しさでにやにやしております(笑) (2019年7月12日 19時) (レス) id: be5de34a4a (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 瀷さん» コメントありがとうございます!頑張ります(´∀`*) (2019年6月1日 20時) (レス) id: fd7aceb583 (このIDを非表示/違反報告)
瀷 - 弔推しなんですけど、初登場が可愛いw頑張ってください! (2019年6月1日 19時) (レス) id: 3960a531d7 (このIDを非表示/違反報告)
小崎相良(プロフ) - 充希さん» ありがとうございます!どの場面でしたか?訂正したいので、教えて頂けると嬉しいです (2019年3月13日 23時) (レス) id: 4835e70326 (このIDを非表示/違反報告)
充希 - オールマイトの一人称は僕ではなく、私です! (2019年3月9日 13時) (レス) id: 1c94acc086 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小崎相良 | 作成日時:2018年9月30日 14時