血統書付きの一匹狼3 ページ23
ベルモットside
部屋の隅で、何かを大事そうに抱え座り込むその子は、入ってきた私の挙動を観察するように真っ直ぐ、そして静かに視線をこちらに向けている。
(印象は警戒心の強い一匹狼、といったところかしら。ジンの言った通りね。)
しかし、怯える様子もなくただ静かにそこに居座っている彼の視線には興味、好奇が強く滲んでいる。人間好きという話も本当のようだ。
(本当に、この子があの悪魔なのかしら)
最近組織で流れていた噂。
組織に潜入していたNOCは、悪魔に命どころか遺体まで奪われるというなんともオカルトめいた噂。
もちろんそんな噂、NOCを炙り出すためのものかと考える程度にしか気にも留めていなかった。ある時までは。
セーフハウスで寛いでいた時に送られてきた一本の動画。
それは、組織の工作員によって一気に10人のNOCを見つけた時の動画だという。組織のメンバーがネクタイピン型の小型カメラで、組織にライブ中継していたそうだ。
その動画は、10人の逃げるNOC達をある建物に追い込んでいるところから始まっていた。
10人をその建物の一か所に追い込んだと思った瞬間、NOC達の後ろから影が現れてまた消えた。
次の瞬間。一斉にNOC達が血を流しながら倒れ伏したのだ。再び現れた影はその状況に驚く組織のメンバーを、目を三日月のように細めて楽しげに見ていたのだ。
『ダメじゃないか』
その一言を最後にその映像は終わっていた。ネクタイピンを潰されたようだ。
『これを見てお前はどう思う』
驚愕のあまりジンからのメッセージに返信することができなかった。
後から聞いた話だけど、この影はNOC達の遺体をスーツケースに入れて半分ずつ持ち去ったそうだ。
まさかあの噂が本当だったなんて、と衝撃を受けたことは今でも鮮明に覚えている。
今こうして実際に見に来てみたはいいものの、とてもこの物静かな風貌の青年があの殺戮現場を一瞬にして作り出したとは思えないのだ。
体格的にも、5人も持ち運べるほどの筋肉がついているという感じではない。むしろ細身だ。
本当は、人違いで連れてこられた一般人なのではないか？
そんな疑問は部屋の中央にあるモノを見れば早々に晴れた。
テーブルの上に無残に散らばるガラス片。
その周りに赤い液体が飛び散っているが、もしかしなくてもこれはあの特別製のグラスだろうか。
もしかして握り潰したの？
……人間の握力じゃないわね。
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あいな(プロフ) - 彩さん» 嬉しいですぅ！！ありがとうございます！！ (2020年9月4日 11時) (
レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
あいな(プロフ) - ゆきなさん» ありがとうございます！！次の第4話から松田さんが出てきます！ (2020年9月4日 11時) (レス) id: ae58e04968 (このIDを非表示/違反報告)
彩 - 初めまして！このシリーズ大好きです(o^^o)更新楽しみにしてます！ (2020年8月31日 19時) (レス) id: bdfba8aa51 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - これからも無理せずに頑張ってください。楽しみにしてます！(推し(松田さん)達がはやく出てきて助かって欲しいですね！) (2020年7月31日 14時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいな | 作成日時：2020年7月13日 3時
