大悪党と駆け引きを【名探偵コナン】【救済】

赤井秀一の探し人 ページ6

赤井side



アメリカに留学して数年、アメリカはとある都市伝説で持ちきりだった。



『なぁ、俺の前にも白猫の魔女が現れたぜ』

『俺の前にも現れたぜ』

『はぁ！？お前達もかよ！！つかなんでお前達の前に？』

『通り魔に狙われてたとか？』

『俺は何かをひったくられたに賭ける』

『じゃあ俺は悩み相談だな』

『どれも違ぇよ、俺の娘の代わりにダンプに轢かれたんだ』

『はぁ！？じゃ、じゃあウツギはもう……！？』

『それが無傷で笑ってたんだ』

『お前クスリでもキメたか？』

『いやいやマジだって！しかも「今度からちゃんと周りを見るんだよ？」って優しく諭して本当に目の前から消えたんだ！！』

『さすが『魔女』だな』

『…たぶんあれじゃ苦労したんだろうなぁ』

『噂によれば誘拐犯からなんとか逃げて隠れながら生活してるらしいぜ』

『あぁ、だから色んな街に出没してんのか』

『俺あいつがいなかったら今頃恋人と心中してたかもしんねぇ』

『はぁ！？そういえばさっきお前、『お前達もかよ！！』って言ってたよな』

『今だから言える話、恋人が浮気してると思ってな。実際は恋人の兄貴だったけど』

『よく踏みとどまれたな』

『『これは憶測だけど聞く限りあなた思いな彼女が浮気なんてするはずない』って諭されてな』

『やっぱめっちゃ良い奴じゃん』

『俺はウツギの肩に乗ってる白猫に妻の病気を見つけてもらった上に『詐欺と思われたくないから』って治療費もくれたんだ。ウツギに会って無かったらきっと今頃……』

『おいおい良い奴すぎねぇ！？』

『俺も会ってみてぇなぁ』

『でもピンチな状況にある奴の前だけにしか現れねぇんだろ？』

『……やっぱ表に出たら誘拐犯にすぐに捕まっちまうのかね』

『噂によるとその誘拐犯が人体実験にしてたらしいぜ』

『そりゃ逃げたくもなるよなぁ』

『でも困ってる人は見過ごせないんだろうなぁ』



その少女のことを知る人はみな怒りを示し口を揃えてこう言う。



『なんであんな善人が隠れて生活しないとならねぇんだ』



その少女は神出鬼没で目の前から突然消えたりするため、人伝での情報以外は集めようにも集められなかった。しかし確かに会ったという人は大勢いる。


実際に会って話したり助けられたという人は皆感激していた。あの人のお陰で人生変わった、と清々しい顔で。




人々から感謝の念を集める「ウツギ」に会ったことも無いというのに、いつも心のどこかでその存在が引っ掛かっていた。

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