大悪党と駆け引きを【名探偵コナン】【救済】

悲しみよ、ありがとう4 ページ46

その後も何もなかったかのように彼女は歩いていたため、やはり見間違いかとその時は思ったのだ。






そしてそれから数年が経ち、友人の羽田から羽田浩司の死因を調べなおして欲しいと依頼を受けて渡米した後、その事件を調べていることがあの組織にバレた時。






メアリーに子供達を任せて安全な日本へ送り、消息を絶つことを示したメールを送った直後のことだ。



自分のいた2階の窓をノックされた。



まさかそんなところからとは思っていなかったが、今窓を叩いた人物くらいは道連れにしようと銃を持って窓に近づいた瞬間。



その瞬間窓を力強く叩かれたような音を最後に、私は意識を失った。







あの時のことは未だに謎が多い。



なぜ私が狙われているのを知っていたのか。



なぜ私の潜伏場所を割り出せたのか。



そして…………どうやって窓の外から私の意識を刈り取ったのか。




いや、しばらく借りていたアメリカの隠れ家で聞きはしたのだ。聞きはしたのだがどの質問にも「たまたまだ」としか答えてはくれなかった。


その時も、心配する人はいないのか、と遠回しに家族のことを聞いたがやはり彼女は濁すだけだった。






そして今。やっと彼女のことが少し掴めたのだ。そして彼女の情報が秘匿されていた理由も。







彼女の父親――(警察苗字():・・) 猛弘(たけひろ)――はゼロのトップとしてその類稀な身体能力を活かして活躍していたという。


彼女の母親――倉敷 甘愛(かんな)――は右腕としてその類稀な動体視力と頭脳、そしてその美貌が何より目を引く女性だったと聞く。




そして、Aとその兄が生まれ、3年が経った頃。




ある巨大な組織に潜入していた部下達がNOCバレしたと知った2人は、すぐさま現場のとあるマンションまで駆けつけ部下達の逃げる時間をたったの2人で稼いだという。



その組織にも痛手を負わせた2人は、しかしその組織の遠距離狙撃手(スナイパー)に多くの致命傷を与えられ、無情にも幼い兄妹を残して儚く散ったそうだ。





無残な姿となった2人の葬式にはもちろん彼女ら兄妹は出席させてはもらえず、別れを告げることなく彼女らの叔母に引き取られたそうだ。



彼女の叔母であるA 美香は当時FBI本部の管理官だったが、双子を養子(・・)として引き取る際に辞職し、双子と共に行方を晦ましたと記録されている。




彼女が両親のことを濁し続けていたのは、恐らく彼女も知らないからなのだろう。

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