大悪党と駆け引きを【名探偵コナン】【救済】

嵐の前の静けさ3 ページ29

最初は、最近連れてきた方が殺気を向けてしまったってかなり落ち込んでいたのだ。

でもそれはよく分かる。わたしだったらきっと目の前に兄さんを奪ったやつがいるなら殺気向けるだけじゃ気がすまない。



奪われる感情っていうものがわかるから余計にその行動に納得してしまう。



そう伝えれば、打ち解けていくことができた。



わたしが組織に信頼されるためという名目で救済した、本来ならば死んでいるはずの人達。




『このチョコケーキすっごく美味しいです！あっさりしてるのでいくらでも食べられちゃいます！』



『そう言ってくれると嬉しいな！』



『そうだな、こうして生きていられるお陰だよ。』



『ネガティブ退散！美味しいケーキの前でそんなメシマズな話したらダメです！

それに生きてるって言ってもほとんどここに閉じ込めてるようなものですからね？』



『はいはい、Aちゃんは大悪党なんだよな？』



『そうです、大それた悪を成す大悪党です！』



『ずいぶん親しみやすい大悪党さんだな』




それでもこの人達にはこの人達の人生がある。そしてわたしはこの人達から時間や大切な人と会える機会を奪うことになる。……でも絶対に光の当たる場所に帰す。

そう決意して誰からともなく笑い声が溢れる心地いい空間を後にする。………あそこは本来わたしがいるべき場所じゃない、さっさと退散しよう。




そんな感じで15軒、エリーさんと立華ちゃんの示してくれたルートで全ての家を回り終えるともう夕方になっていた。まぁアメリカ全土にポツポツと存在するから普通1日じゃ回れないんだけどね？


とか思いつつ帰路を急いでいると目の前に人だかりがある。


え、何だろう？こんな小道で何がそんなに――




『『あーー！！ウツギだ！！』』



『『『白猫のエリーもいるぞ！！』』』



『へっ！？』



『にゃうん！(Aこっち！)』



『えっ！？』




携帯が震えているのに気付き、エリーさんを追いながらポケットから取り出す。立華ちゃんからだ！！




『すみませんAさん！まさかこんなところで取材してるなんて！』



『そりゃこんなところ予測できないよ！今ちゃんと逃げられてるから大丈夫だよ！』



『はい！衛星で追っています！そのまま少し遠回りして帰ってきてください！』



『エリーさん、ちょっと遠回りしてだってさ！』



『にゃうん！』




立華ちゃんがナチュラルに衛星システムにハッキングしてるのはノータッチで。

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