2,低レベル ページ2
――――
店のチャイムは私のやる気スイッチを反応させる。
「…っらっしゃいませー」
あえて「い」を発音しないのが私の自己流なのだ。
――――なんて、変なことを考えていたら不幸が訪れる日はそう遠くはない。入ってきた客はジャンプをいつも立ち読みする悪質な人で。しかもうちにはそんなやつが今の人を含め2人いるということ。
ハァ、とため息をついていると。
「オネーサン、これ頼むわ」
「…あれ、今日は立ち読みしていかないんですか」
「……あ?」
しまった、と思わず口を塞ぐと、今日は珍しく金が入ったんでね、――と好調な顔をしていて。
「オネーサンはここでバイト?よく見かけるけど」
「あっはいそうです。」
よくやるね、とお金を出しながら言われた。
……それってどういう意味?
もしかして、たまにバイトサボっちゃってることバレてるのかな。
思いもよらない発言に少し動揺してしまう。
「ど、どういう意味です?」
「えぇ?聞きたいの?」
「……え、なんですかその顔…。」
「…特に意味はねェよ。早くジャンプくれ」
まともに会話をしたのはこれが初めてだった。
会話のキャッチボールができてるか、できてないか、分からないくらい低レベルな会話をしていた。
……これが初のコンビニ雑談と思うとちょっと嫌っていうか…、不思議な感覚。
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作者名:ひなどり。 | 作成日時:2024年4月5日 11時