お前はどっち？【暗チ】 (ページ2)

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「先日はご苦労だった。お前の活躍ぶりはギアッチョから聞いている」

私はリーダーからの無線に半笑いで応えた。

「ギアッチョはお前について、少々苛立った様子ではあったが十分間も早口で捲し立てていた」

一体私について何を言うことがあったのだろうか。

マクドナルド事件の後は特に目立った行動もしていないはずで、ギアッチョが取りこぼした情報をせっせとかき集めていただけだ。

所謂カルガモのヒナ状態である。

「彼の仕事は普段の性格からは窺えないほど非常に丁寧だ。折角手解きを受けているのだから、しっかり見て技を盗め」

『はい、リーダー』

「……どうした、声に覇気がないな」

『いえ、あの……ギアッチョは私のことを、イライラしながら報告したんですよね……それが少し残念で、もっと上手くやれたらよかったなって』

電話越しでリーダーが深く息を吐いたのが分かった。

そんなことをいちいち気にして暗殺者が務まるかと叱責されるだろうか。

「お前は興味のない人間について十分近くも話していられるか？」

リーダーは呆れたような口調で更に告げる。

「総評は中々に使える奴だということでまとまっていた。心配することはない」

私の胸は、リーダーの言葉により一瞬にして軽くなった。

ギアッチョは私を認めてくれている。

形はどうあれ、そのことが分かっただけでも嬉しかった。

「次回も期待している」

余韻もなく無遠慮に切られる無線。

しかし私は、苛立ちなど全く感じなかった。